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「いつまでも若いと思うなよ」 橋本治

2015-10-29 | 読書

最近あまり消息を聞かないなと思ったら、大変な病気をしていて、しかも大借金があると言う。

若い人には、誰、それという感じかもしれないが、私たち同世代はこのインパクトのあるポスターhttp://pds.exblog.jp/pds/1/200901/15/33/c0035233_031379.gif

で一躍世に出たサブカル系の多才な人として、よく知られた人である。

何?そのポスターと聞かれたら、昔々のその昔、おじいちゃんやおばあちゃんがうんと若かった頃、日本には第二次安保闘争というのがあり、その前からベトナム反戦の運動や、世界的なstudent powerの高まりの中で、日本のたくさんの大学でも学生運動というものが起き、特に東大や京大では・・・・といいつつ、まとめるのが面倒になってきた。徒労感もある。

総括なんて、永遠にできないと思う。嫌な時代だった。思い出したくない。青春の一ページなんて、能天気に思える人は幸せである。いくら言葉を尽くしても、どこにも届かず、何も表現できなかった。この深い徒労感。

おやおや、なんで今さら文学少女するんだろう。恥ずかしや。

ポスターはその運動の最中、東大駒場祭のもの。無名の一学生のポスターが顕しているのは騒然とした時代の空気かな。

この人は後に桃尻娘シリーズなど、小説もたくさん書いた。面白かったのは編み物が得意で、こまわりくんの栃の嵐を編み込んだ自作のセーターを着ていたのをテレビか何かで見たことある。

こまわりくん?栃の嵐?あん、もう説明するのがめんどくさい。そこら辺の年寄りに聞いてください。ついでに東大闘争も。紛争という言い方もあります。どう言うかでその人のスタンスが丸わかり。

で、この人はバブルのころそそのかされてマンションの半地下の部屋30坪を1億8千万で買い、未だ借金が何千万と残っていると言う。毎月150万のローンが今は110万になっているというが、それにしても大変だあ。

この人の書くものはおばさんの無駄話みたいに、初めはなかなか頭に入らないのだけど、借金と病気の辺りから俄然面白くなり、歳とったり病気にならないと分からないこともたくさんあるのだと知った。

人は誰も年を取り、やがて死ぬ。でもそう怖らず、その変化だってよく観察すれば教訓がいっぱいと、この本で分かった。

まったくの同学年なので、同級生ではありませんが、この人のことがちょっとショックで、自分ももう若くないのだと合わせ鏡のようにしてようやく悟ったのであります。

あと同学年と言えば、村上春樹氏や井上陽水氏、ジュリーもそうですね。女性は誰だろう、今ちょっと思い浮かばない。


 

きょうは久しぶりに駅前のジュンク堂まで行って、窓際のカフェでほとんどを読んだ。いつの間にかでかいビルが目の前に建設中で、見通しが悪くなっていた。

クレーンで鋼材が引き上げられるのを見るうち、橋本治氏つながりで、東大に進学した高校の同級生のことを唐突に思い出していた。卒業後は文通していて、休みには故郷の街で会ったりしていたけれど、そのうち休みにもお互い帰省しなくなり、疎遠になって些細な齟齬が重なって、とこの辺りはあいまいにぼかす、やがて付き合いも途絶えた。

その人はもう亡くなってしまったらしい。そのことを知ってからだってだいぶ経つのに、広島の街を見下ろしながら自分たちの世代も歳とり、やがて死んでいくのだと気が付き、何か急に、初めて涙が出た。

何の涙だったのかな。一人一人と別れ、一つ一つを手放してやがて死んでいくのかな。死ぬまでにあとどれだけのことができるのかなと思うと、毎日ボートしてはいけないのかなとも思った。

さしあたりは片付けですね。要らないものは捨てる。捨てられなかったら間引きする。

本の感想からは程遠い記事になりました。深謝。

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