親本は3年前、つい最近文庫化されたようです。
大変面白く読みました。
11人の論者がそれぞれの立場から、これから迎える人口減少社会を考えています。
初めに編者の内田氏が、人口減は不可避であること、それに見合ったシステムを考えるべきと、提言しています。
人口減を資料を基に考えるのではなく、気分で考え、子供が減ると企業が困る、国が困るという発想では女性を出産と子育てに向かわせることは難しいと、複数の人が言っている。
また少子化問題は、東京で最も深刻なこと。東京では出生率は全国でも特に低く、老人の人数がずば抜けて多い。地方も子供は少ないけれど、老人も少ない。老人のなり手がないそうで。確かに。
東京で家庭を持ち、子供を育てるのがどれだけ大変か、身近な例でも実感する。一人は40代半ばでいまだ未婚、もう一人は家賃が高すぎて一家で実家に帰ったけど、お婿さんが田舎の暮らしに馴染めず離婚になったとか、そんな話ばかり。
岡山県の津山市に隣接するある町は出生率が2.8と全国一だそうで、注目されている。この街では徹底して、若い女性が子供を育てやすい施策を行い、文化的な環境も整えている。仕事は隣の津山市へ。
子供を安心して育てられる町は女性に好かれる街だそうです。
極端な例として、東北のある地方では葬式は男性が御馳走食べてお酒飲んで、女性は座る間もなく働くそうで。
ある人は父親の葬儀にも帰らなかったそうな。悲しむ間もなく、女が働かされるからと。
女が子供を産む道具、子育てして家を存続させて当然では少子化はとまらない。これは同意する人も多いと思う。また日本では正式な結婚以外で生まれた子供に対しての援助が少ない。親の法的関係には関係なく、その子に援助すると言う仕組みになってほしいと私も思った。
世の中も家族制度も不断に変わり続ける。少子化は誰にとっての問題?
人口の多い私たちの世代が死に絶えると、案外バランスの取れた社会になっているかもしれない。
いろいろな制度を、結婚して子供がいるのが当たり前から、いろいろな生き方に対応する方へと変えていくべきだと思う。
誰もが自由で幸せに暮らせるように、それが結局は人口問題なのかなと、愚考した次第です。