田村高廣と木下惠介監督

田村高廣さんの父親は

阪東妻三郎で映画が活動写真といわれて

サイレント時代から阪妻（ばんつま）と

云われて親しまれた大スターでした

「無法松の一生」稲垣浩監督（いながきひろし）

の名作がありました。

その阪妻の長男が田村高廣です



同志社大経済学部卒の田村高廣さんは

サラリーマン生活でスタートしました



父親の急逝と監督木下惠介（きのしたけいすけ）監督

薦めもあって映画俳優の道を歩み始めます



田村高廣のデビュー作は

高峰三枝子、高峰秀子、岸惠子。出演の

松竹大船作品「女の園」でした



私もこの作品は見ているはずですが

ストーリーや田村高廣さんのデビュー作の

印象が思い出せません



木下惠介作品は「二十四の瞳」

「喜びも悲しみも幾歳月」

「カルメン故郷に帰る」「楢山節考」

…　…　…

なお木下惠介監督は、テレビドラマで

編集無しの1本録りの時代に

テレビドラマを制作しています

田村高廣さん

大映映画「白い巨塔」は、

大学病院を舞台にする

２人の医師のストーリーです



先日亡くなった山崎豊子の原作て

野心に燃える財前（田宮二郎）と

患者の身になって考える里見脩二（田村高廣）

のキャスティングが印象に残りました



その田村高廣さんがテレビスタジオに

入ってこられました



高廣さんは実にさわやかな印象で

待ち時間の間、スタジオのみんなを

笑わせてどうしてその雰囲気が

演技に反映しないのか不思議に

思われました



テレビスタジオはそこで働く人に

とって、職場ですから

ＮＧを出さなく、和やかな

雰囲気の俳優さんが好かれます



田村高廣さんの人柄を間近に

して、テレビ各局の

ドラマに多く出演されている謎が

解けました。

田村高廣さんテレビドラマに出演

映画の五社協定が緩くなって

映画スター、名優さんが

テレビドラマに出演され始めました



宇津井健さん、有馬稲子さん、

小林桂樹さん、田村高廣さん

などテレビドラマに出演されました



テレビドラマ制作のスタジオ及び

セットは俳優さん、スタッフにとって

職場です




世間の会社の職場とは一寸違いますが

それでも職場に違いありません



映画俳優の田村高廣さんは映画「白い巨塔」で

ヒットを飛ばしましたが、俳優さんとしては

少し地味な演技の人です



各局のテレビドラマで田村高廣さんの

出演が多いのです。どうして田村さんが

売れるのか不思議に思っていました…

…　…　…

テレビドラマに田村高廣さんの

出演が決まって、ＶＴＲ録りで

スタジオに来られました

映画スターとテレビドラマ

テレビドラマはノンストップの録画録り

始まりましたが、録画テープの編集で

「電子編集」といって録画テープを

切断しないで無傷で編集できるようになりました



テレビドラマはこの［電子編集」で

ドラマを何ロールかに分けて録画することが

できるようになりました



テレビドラマをいくつかに分割して

録画するといっても映画の

ワンカット、ワンカットほど

細かくはなっていません




ＮＨＫ「大河ドラマ」の第二作

「赤穂浪士」に映画大スターの

長谷川一夫がテレビドラマの

初出演で当時話題になりました



映画界も映画俳優さんの

テレビ出演を認めないわけに

いかなくなって映画俳優さんを

主演とするテレビドラマが

作られるようになりました

映画とテレビドラマの俳優さん

テレビドラマが録画に

なったとはいっても

ＡＤさんが

「用意スタート３０秒前…」と

号令をかけるとドラマの最後まで

ノンストップでした



劇場で上演される演劇(芝居)も

ベルが鳴って緞帳が上がれば

再び緞帳が下りるまで

芝居はノンストップです



テレビ生ドラマ時代は

ノンストップの演技に

馴染んでいる街の劇団の俳優さんで

構成されました



映画のスターさんや俳優さんは

ノンストップの演技に

馴染んでいません



映画の俳優さんは

監督の「用意スタート」

の号令でワンカット、ワンカット

ぶつ切れの演技の積み重ねです



それと映画俳優さんの

テレビドラマ出演は

映画界の協定で不可能でした

生ドラマを録画

テレビドラマが生ドラマのときは

放送時間が過ぎると仕事が終わっていました




テレビ生ドラマ時代は数日間、準備や

ドラマのリハーサルがあっても

残業にはなりませんでした



生ドラマはやがて録画ドラマになりました



ドラマを録画するようになっても

最初のころは生ドラマと同じように

ドラマを中断することなく連続して

いっきに録画していました



ドラマを録画するときは

スタジオＡＤさんはスタッフの

各パートにスタートＯＫですか

の了解をとります

俳優さんにもＯＫをとります

そして各部のＯＫをとって

「ＶＴＲスタート、30秒前…」と

スタジオ内にＡＤさんは叫びます




生ドラマ時代では放送開始時間は

絶対でしたからどんな準備も

間に合わせていましたが…



ＡＤさんの

「スタート30秒前…」の

声を聞いて、どこからか

「一寸待って…」がよくありました

映画・新平家物語

平家物語、沖に浮かんだ平氏の軍船に

扇の的が揚がっています

それを馬に跨った源氏の武者那須与一が

岸辺から弓で射落とす名場面があります



この新平家物語の映画ロケーションがありました

当時は、岡山県の宇野桟橋から

宇高連絡船で四国の香川県高松市の港に

入港する大変なロケでした




ロケ隊の乗船した連絡船が

高松港に近づくと吹奏楽団の

演奏が聞こえてきました



連絡船が入港するとなんとロケ隊歓迎の

横断幕と花束で俳優さんは大歓迎されました



映画のロケは筋書きに関係なく

猛烈な中抜き撮りをします



湾には平家の軍船が並んでいるだけで

岸辺の観客にはなにを撮っているのか

さっぱり判りません

…　…　…

見物のおばあさんは

「結構なものを見せて貰って

思い残すことがない…」と

つぶやいていました

ビデオ中継車、会津若松へ

連続テレビドラマの放映が始まると

テレビ局、スポンサーサイドは

視聴率に関心が集まります




連続テレビドラマはワンクールを

単位に企画されます



回を追うごとに視聴率が伸びると

ワンクールでなく

延長されることがあります




ワンクールとは４分の１年で

３カ月を単位にした数え方です

ワンクールは３カ月毎週ですから

１３回のドラマになります



ホームドラマで会津若松から

都心に嫁いできた若奥様の

話で、ドラマの最終回は

若奥様の故郷、会津若松に

里帰りするストーリーになりました



ビデオレコーダー搭載の中継車を

名神高速で東京を越えて

郡山→会津若松へ出かけました

…　…　…

スタッフは新幹線で出発しますが

中継車は途中２回ほど休憩と宿泊で

大変でした



飯盛山から鶴ケ城を望んで

自刃する白虎隊の悲劇を描いた

パレードを中継しました

ドラマにインサートされました

…　…　…

市を上げて応援してくれました

ビデオレコーダー搭載中継車

テレビ局にしかビデオレコーダーが

無かったときは屋外の現場から

電波を飛ばして録画していました



テレビ中継車にビデオレコーダーが

搭載されて、テレビの苦手としていた

屋外の取材が楽になりました




しかし、大きなビデオレコーダーを搭載した

テレビ中継車は街を走るバスほどでした



山間のビデオ録り特集番組で

スタッフ一同現場の下見に出かけます



中継車には、テレビカメラ4台、

三脚４本、ズームレンズ最低４本

カメラケーブル１５０メートル×４本

音声機器、ビデオレコーダー２台の

装備です。



番組制作のスタッフによる下見に

この大きな中継車を運転するドライバーも

同道します。この狭い山道は、この急カーブを

通れますか…とドライバーに確かめていきます

松竹新喜劇の巡業

テレビの生中継番組は

見ていてスリルがありました

…　…　…

××市△△劇場の芝居を

その劇場のお客さんと同じ

時間進行で観賞できます

…　…　…

クラシックコンサートの

生中継でもその劇場の

聴衆と一緒に観賞できます



劇場生中継では放送時間に

上演スケジュールを

合わせていました



新しくビデオレコーダー搭載の

中継車が完成しました

劇場中継はすべて録画になりました

劇場の上演スケジュールは

もう関係なくなりました



藤山寛美の松竹新喜劇も

録画になりました



松竹新喜劇は大阪道頓堀中座から

出て、巡業興行がありました



名古屋御園座と東京の

新橋演舞場でした

…　…　…

中継車はその度に

名古屋、東京と高速道路で移動しますし

…　…　…

中継スタッフは東海道新幹線で東京へ

近鉄で名古屋へ出張しました



最近、テレビ生中継はスポーツ番組で

野球、サッカー、ＮＨＫの紅白歌合戦などで

しょうか