ごっとさんのブログ

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ミドリムシからジェット燃料

2016-01-21 10:40:13 | 自然
ミドリムシは色々な機能性食品や、サプリメントなどの供給物としていろいろ開発されていましたが、最近バイオ燃料としてジェット燃料の開発に成功したという記事が出ました

。パリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、温室効果ガスの削減対策が全加盟国に義務付けられました。地球環境保護への貢献と、“国産新エネルギー”という悲願の実現とが期待される夢のプロジェクトとされています。

ミドリムシは藻の一種で、鞭毛虫と言われていますが、動物ではなく植物の仲間です。体長は0.1mm程度と非常に小さく、鞭毛と体の独特の動きにより移動しますので、顕微鏡材料とされています。たぶん日本ではどこにでも生育しており(温暖な土地だけかもしれません)、よく田んぼの田植えが終わった後などに、緑色の藻が広がっているのを見かけますが、これがミドリムシです。

こういった微生物を培養して有用物質を取るというと、このブログでも書きましたが、石油タンパクを思い出します。これは細菌を培養して、菌体からタンパク質を取り出そうという物ですが、細菌は従属栄養、すなわちエサが必要となります。ところがミドリムシは植物の仲間ですので、独立栄養と言って炭酸ガスと水があれば増殖することができます。つまりプールに水を張って、移植してやるだけで自然に増殖するのですが、大量に安定して培養するにはいろいろな苦労があったようです。

まずミドリムシは藻類ですので、色々な微生物の餌となってしまいます。微生物が感染すると全体が褐色や白化してしまい、うまく増殖しなくなるようです。このプロジェクトはミドリムシの学名を取った企業が進めているのですが、もともとは東京大学の研究から始まったようです。彼らはこの微生物感染を防ぐため、いろいろ試みたようですが、最終的には増殖を進めるために加えていた、炭酸ガス濃度を他の微生物が生育できない程度まで高めることで成功したようです。

このミドリムシ菌体から油脂部分を取り出し、当初はディーゼル燃料を目指していたようです。もちろんすべてこのバイオ燃料だけではなく5%程度添加するだけですが、何万キロかの実証実験に成功したようです。そこで今回ジェット燃料への添加を検討し、ある程度成功したようです。しかし問題は生産コストになるでしょう。

ミドリムシから油脂部分を取り出すことがそれほど簡単とは思えませんので、石油より安くするといのはやや無理な課題のような気もします。この夢のプロジェクトがどこまで進むのか、期待しています。