ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

コンピュータ囲碁の勝利

2016-03-27 10:52:57 | 文化
ひと月以上前になりますが、コンピュータ囲碁が非常に進歩し、プロ棋士にも勝てるようになったことを書きました。

その時3月に世界のトッププロとの対戦が企画されているとしましたが、少し前に実施され、コンピュータが4勝1敗で勝利したようです。

このソフトはグーグルの関連会社が開発した、人工知能(AI)「アルファ碁」というもので、対局者は李九段という私は知りませんでしたが、世界のトップ棋士です。最近の新聞に「常識はAIに覆された」という見出しで、この対局の何場面かが紹介されていました。

前にも書きましたが、囲碁の世界ではコンピュータがトッププロに勝つには、まだ10年はかかるとされていたものが、簡単に達成されてしまいました。人工知能の進歩がすごいのか、そういったソフトを開発する人たちがすごいのかわかりませんが、これで囲碁・将棋・チェスなどのゲームはAIに勝てなくなったわけです。

今回のアルファ碁は、画像認識などで注目されている「ディープラーニング(深層学習)」という手法が用いられて様です。こう書いても私もよくわかりませんが、石の形の良さなどを教えるのではなく、人工知能が自ら気づくことができる手法とされています。膨大な数の人間の棋譜を記憶し、自己対局を何千万回と繰り返すことによって、賢くなっていったようです。

この紙面では対局中のいくつかの場面を示し、その手について日本の名人が感想を述べています。その中で定石といわれる手を手抜きして、ほかの場所を打ったりと人間ではあまりやらないような手がいくつか出てきたようです。定石というのは長い囲碁の歴史の中で、両者が互角となるとされている手順ですので、本来手抜きすると不利になるはずですが、大局的にはあり得るようです。

その他も斬新な手として、評価されたものに対する名人の感想は、「今までの感覚とかけ離れ、弟子が打ったら叱り飛ばす」ような手ということでした。全体としてこのアルファ碁の大局観を見て、「人間は打たれてきた形の固定観念に縛られている」といった感想が述べられていました。面白いことにアルファ碁が敗れた1局は、精密な読みが要求されるような囲碁だったようです。本来AIはこういった先を正確に読むという点では、最も得意とする分野ですが、その点で人間のほうが正確に読めたということは不思議な気がします。

最後に名人は、「打ち方を教えられた」という感想を述べていましたが、今後のプロの対局にも何か影響が出るのかもしれません。こういった人工知能がどこまで進歩するのか、SFの世界が近づいているのかもしれません。