「安いレクサス」を誰も欲しがらない

かつての日本企業は「良い品を、より安く」というアプローチで成功してきました。

しかし「ラグジュアリー・ブランド」の台頭で苦戦する場面が増えているようです。このラグジュアリーというのは「豪華な」とか「贅沢な」というような意味もあるようですが、こういった製品が増えてきたのは確かなようです。

従来は「同一性能なら競合製品より価格を下げる」「同一価格なら競合製品より性能を高める」というアプローチが主流でした。その前提には、コストパフォーマンスで顧客価値を判定するという発想があり、その実現には事業の効率化や生産性の向上が必要でした。

これは20世紀の後半に。多くの日本企業が世界に名をはせるうえで得意としてきたアプローチでした。現在の日本企業にとっては「高く売ることを考えるべき」製品が出つつあるようです。

しかし日本企業の多くはいいものを安く売る成功体験はあるものの、価格の高さを正当化するノウハウの蓄積にはかなり乏しいようです。そのためラグジュアリー・ブランドの構築が必要とされています。

客観的に比較できるスペック上の有意性から生まれるのは、一般的なブランドの高級ラインであり、ラグジュアリー・ブランドにとって必要なのは、比較を超越した独自の個性への絶対的な敬意や情念の生成であるとしています。

これをリードしてきたのはフランスやイタリアなどのヨーロッパの企業のようです。例としてはコーヒーメーカーのネスレが手掛ける「ネスプレッソ」があり、これは加圧式コーヒーマシンとコーヒーカプセルからなるシステムで、至福のコーヒー体験を提供するようです。

同社はネスプレッソをネスカフェなどの主要なコーヒーブランドとは異なる事業と位置づけ、独立した子会社に事業を委ねています。日本に入ったのはかなり前のようですが、2001年以後に一般消費者向けの展開を始めたようです。

私はこれを飲んだことは有りませんし、価格などもよく分かりませんが、表参道にブティックがあるようですので、何かの折には行ってみたい気もします。

日本の例としてはサントリーに輸入ワインの会社が二つあり、そのうち1社はラグジュアリーなワインを手掛けているようです。ワインはブドウの栽培が不安定であることなどからヴィンテージ物の価値が高まっており、長く保存すると高値での販売が可能になる場合もあると言います。

私はワインをほとんど飲みませんが、本当に値段の幅は広いようです。このようにラグジュアリー・ブランドを扱うには、基本理念的なものから変えざるを得ず、生産、営業販売どれをとっても一流の物が求められるため、同一の組織では無理とされているようです。こういった値段を気にしないという消費者も増えているのかもしれません。