ごっとさんのブログ

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トクホと機能性表示食品

2017-11-28 10:38:10 | 時事
健康への効能を商品でうたえる制度として25年前に始まった特定機能食品(トクホ)に陰りが見えてきたようです。

その一方で2015年4月にスタートした機能性表示食品の届け出数が急増しています。健康食品大手のファンケルでも、機能性の商品で認められる表示の範囲はトクホよりずっと広く魅力的としています。同社ではトクホ3商品を販売していましたが、いずれも販売を終了しています。

「機能性」の届け出件数は2015年度に302件、昨年12月までに588件と倍増しているようです。

1991年に制度が導入されたトクホは、健康ブームに乗りヒット商品もいくつか出ました。しかし昨年9月、販売中のトクホ6商品の有効成分が表示より大幅に少ないことなどが発覚しました。これを機に国が実施した調査で、トクホの許可・承認件数のうち実際に販売されているのは3割にも満たない366商品ということが分かりました。

売れ行きの良くない商品の販売中止や、「機能性」への切り替えも影響しているとみています。企業がトクホから「機能性」にシフトする背景に、効能をうたうための手続きのハードルの違いがあるようです。

トクホでは国が効果や安全性を厳しく審査し、ヒトでの試験が必要となっています。これには費用が億単位に及ぶこともあり、申請から許可まで1年~数年かかるのが一般的なようです。これは医薬品の治験よりは簡単なようですが、やはりヒトを使って実験するというのは、それなりに時間や手間、費用がかさんでしまうものです。

ところが「機能性」では、ヒトの試験は必要なく、過去の学術論文などで有効性を示すことが可能です。しかも審査時間も短く、2週間で届け出が完了したものもあったようです。このように簡単に機能性表示食品となることは、若干問題があるような気もします。

効果を自分で調べる必要がなく、過去の論文でよいというのは本当に効能があるのか疑わしい気もします。論文の真偽を疑うわけではありませんが、研究の場合は有効率が低くても投稿できますし、再現性に乏しい場合もあるからです。

このようにトクホは厳しいのに「機能性」は単なる届け出制なのは、経済界からの要望を受け、政府が規制緩和を進めて作った制度のためのようです。

実際は届け出済み商品を国が調査したところ、成分の過不足や、企業が提出した分析法では成分が入っているか確認でないものまで出てきたようです。現在の機能性表示食品は、企業の自己申告制ですので玉石混交と言えるのかもしれません。

トクホの信頼回復も必要ですし、機能性も本当に意味あるものにするには、国の見直しが必要のような気がします。