ごっとさんのブログ

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iPS細胞で認知症薬探索

2017-11-27 10:26:33 | 
アルツハイマー型認知症の患者から作ったiPS細胞を使い、発症の原因物質を減らす薬の組み合わせを見つけたと京都大学などの研究グループが発表しました。

これはiPS細胞を創薬に応用する新しい成果で、既存の3種類の薬を同時に使うと効果があることが分かりました。

アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞で「アミロイドβ」というタンパク質が作られ、過剰にたまることが主な原因とされています。症状を緩和する薬はあるもののアミロイドそのものを減らす薬は研究段階で実用化されていません。

研究グループは、患者の皮膚からiPS細胞を作って増やし、脳の神経細胞に変化させて培養しました。この細胞を使って既存の1258種類の薬を使用して、アミロイドを減らす薬を探索しました。

この方法論については理解できるのですが、若干疑問点もあります。患者の皮膚細胞をiPSにするということは、いわば初期化してしまうわけですので、それから分化させた神経細胞になぜアミロイドがたまってくるのかが分かりません。

アミロイドというのは脳細胞だけで作られるわけではないのですが、遺伝子異常が原因であればアミロイドを作りやすいことは有るかもしれません。認知症に遺伝子が関連しているという報告もあるようですが、ある特定の遺伝子を持っていると発症率が高くなるという程度で、遺伝子は直接関与していないような気がします。

何か特別の操作によってこの神経細胞にアミロイドがたまるように工夫したのかもしれません。

この神経細胞での探索の結果、パーキンソン病と喘息、てんかんの3種類の薬を同時に加えると最も効果あったといいます。

患者9人のiPS細胞から作った神経細胞で試し、48時間後に調べると、アミロイドの量が3~4割減少し、8割減った細胞もあったようです。

このようにアミロイドを減少させる薬剤が見つかったことは、アルツハイマーの根本治療につながる成果と言えますが、基本的な問題をどうするかが残っています。こういったアミロイドをターゲットにした薬はいくつか臨床試験に入っていますが、いずれも良い効果は出ていません。

これはアミロイドの蓄積が10年あるいは20年前から始まっており、症状が出た段階ではすでに神経が痛んでおりアミロイドを減らしても認知症自体は改善しないためのようです。この辺りをどう克服していくか今後の展開に期待しています。

今回はあくまで試験管内での結果ですので、これからの課題は多いと思いますが、iPS細胞の創薬への応用は確実に進んでいるようです。