iPS細胞の応用は着々と進んでいるようですが、やはり心筋細胞や神経細胞への応用が多いようです。
京都大学の物質・細胞統合システム拠点の研究グループは、マイクファイバーを使ってヒトiPS細胞から心筋細胞をシート状に培養することに成功しました。生体に近い状態で心筋を作成でき、再生医療や薬剤開発への応用が期待できるようです。
研究グループは、生体内で分解される高分子化合物を使った直径1~2マイクロメートルの線維を同じ方向で多数並べた、縦横1センチのシートを作成しました。このシート上でヒトiPS細胞を培養すると、生体の心筋に近い構造を持った厚さ数百マイクロメートルの心筋シートとすることができました。
これは従来型より細胞の成熟度が高くなったとしています。これを心筋梗塞を起こさせたラットの心臓に移植して、1か月後には心機能が回復し拒絶反応もなかったようです。
また移植していない状態での心筋シートでは、細胞の拍動に合わせて生じる電気活動も安定していました。このシートは再生医療として使用するだけでなく、薬剤開発時の毒性の検査などに活用できる可能性があるようです。今後ヒトに応用するときに適したシートの厚さなど検討するとしています。
もう一つが東京大学生産技術研究所などのチームが、運動神経が束状になった組織を作ったと発表しました。
これは同じくヒトiPS細胞を使ったものですが、小型装置を使い生体と同じ様な形体の物を作成し、萎縮性側索硬化症などの治療薬開発に生かせる可能性があるとしています。
研究チームは、1辺が150マイクロメーターの通路を備えた小型装置を開発し、iPS細胞を運動神経細胞に変えたうえで、約1万個を装置の中で培養したところ、半数が電気信号を伝える「軸索」を通路に伸ばし、軸索同士が集まって1本の束になりました。
束の直径は50~150マイクロメートルで、長さは最長2センチでした。体内では多数の神経細胞の軸索が束状になっていますが、これまでは作られた神経細胞を軸索の束にする試みはありませんでした。
作成した束状組織を傷つけて病気の状態に近づけたのち、化合物を加えて傷が治るかを調べることで薬の開発に生かせるとしています。今後はチームの一員が設立したベンチャー企業が、薬の開発支援に取り組むようです。
このあたりはiPS細胞の実用化研究と言えるのかもしれませんが、ここで取り上げた心筋細胞や神経細胞以外にも色々な細胞に誘導することができていますので、再生医療や創薬研究に早くたどり着いてほしいものです。
京都大学の物質・細胞統合システム拠点の研究グループは、マイクファイバーを使ってヒトiPS細胞から心筋細胞をシート状に培養することに成功しました。生体に近い状態で心筋を作成でき、再生医療や薬剤開発への応用が期待できるようです。
研究グループは、生体内で分解される高分子化合物を使った直径1~2マイクロメートルの線維を同じ方向で多数並べた、縦横1センチのシートを作成しました。このシート上でヒトiPS細胞を培養すると、生体の心筋に近い構造を持った厚さ数百マイクロメートルの心筋シートとすることができました。
これは従来型より細胞の成熟度が高くなったとしています。これを心筋梗塞を起こさせたラットの心臓に移植して、1か月後には心機能が回復し拒絶反応もなかったようです。
また移植していない状態での心筋シートでは、細胞の拍動に合わせて生じる電気活動も安定していました。このシートは再生医療として使用するだけでなく、薬剤開発時の毒性の検査などに活用できる可能性があるようです。今後ヒトに応用するときに適したシートの厚さなど検討するとしています。
もう一つが東京大学生産技術研究所などのチームが、運動神経が束状になった組織を作ったと発表しました。
これは同じくヒトiPS細胞を使ったものですが、小型装置を使い生体と同じ様な形体の物を作成し、萎縮性側索硬化症などの治療薬開発に生かせる可能性があるとしています。
研究チームは、1辺が150マイクロメーターの通路を備えた小型装置を開発し、iPS細胞を運動神経細胞に変えたうえで、約1万個を装置の中で培養したところ、半数が電気信号を伝える「軸索」を通路に伸ばし、軸索同士が集まって1本の束になりました。
束の直径は50~150マイクロメートルで、長さは最長2センチでした。体内では多数の神経細胞の軸索が束状になっていますが、これまでは作られた神経細胞を軸索の束にする試みはありませんでした。
作成した束状組織を傷つけて病気の状態に近づけたのち、化合物を加えて傷が治るかを調べることで薬の開発に生かせるとしています。今後はチームの一員が設立したベンチャー企業が、薬の開発支援に取り組むようです。
このあたりはiPS細胞の実用化研究と言えるのかもしれませんが、ここで取り上げた心筋細胞や神経細胞以外にも色々な細胞に誘導することができていますので、再生医療や創薬研究に早くたどり着いてほしいものです。