日本でiPS細胞が開発され、再生医療ということが現実味を帯びてきている割には、あまりこの方面での臨床試験などは進んでいません。
京都大学iPS細胞研究所では、再生医療用のiPS細胞を備蓄するというストックが精力的に進められており、同研究所の主要事業となっています。
患者本人の細胞からiPS細胞を創れば、移植時の拒絶反応は回避できますが、それには作成の時間と膨大な費用がかさんでしまいます。そこでストック事業では、拒絶反応を起こしにくい特殊な白血球の型(HLA型)を持つ提供者のiPS細胞をあらかじめ複数そろえておくというものです。
日本人の大半への移植に対応できる体制を目指し、2013年に始まっています。この事業自身多額の資金がかかっていますが、本年4月には日本人の32%をカバーする3種類のHLA型のiPS細胞を備蓄しています。
ところが同研究所が大学や企業などを対象に実施したアンケートで意外な結果が出ました。「移植に使う際にiPS細胞のHLA型を個々の患者に合わせるか」という問いに、企業3社すべてと、15研究機関の内6機関が「合わせない」もしくは「どちらとも言えない」と回答しました。
基本には免疫抑制剤を使えば、HLA型を合わせる必要がないわけです。さらに将来HLA型ごとに安全性などの試験が必要になったり、多くの課題が存在するためのようです。その他実際に開発を進めている企業では、自社でも作製できるものを、ストックされたものを使って不具合が生じるリスクは避けたいというような思惑もあるようです。
このストック事業の存在意義を揺るがすような新たな技術も登場してきました。アメリカのバイオベンチャーが、遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集技術を使ってiPS細胞の遺伝子を改変し、移植後の拒絶反応を抑える技術を開発したと発表しました。
これを使えば、HLA型を気にせずに移植できる細胞が作成できるかもしれないと注目されています。こういったことから「様々な観点からストック事業の行き詰まりは明らかだが、誰も打開策を持たず結論を先送りにしている」というような意見も出始めています。
安倍政権が再生医療を「成長戦略」の柱の一つに位置付けたことで支援は加速していますが、今後の方向性があいまいなままなのかもしれません。
再生医療全体で見ると海外では、元々体内に存在する体性幹細胞や、胚性幹細胞(ES細胞)を使った研究が先行し、幹細胞を使った臨床試験数では日本は大きく出遅れているようです。
このところ私もiPS細胞研究の成果をあまり見ていませんので、日本独自の戦略が欲しいところです。
京都大学iPS細胞研究所では、再生医療用のiPS細胞を備蓄するというストックが精力的に進められており、同研究所の主要事業となっています。
患者本人の細胞からiPS細胞を創れば、移植時の拒絶反応は回避できますが、それには作成の時間と膨大な費用がかさんでしまいます。そこでストック事業では、拒絶反応を起こしにくい特殊な白血球の型(HLA型)を持つ提供者のiPS細胞をあらかじめ複数そろえておくというものです。
日本人の大半への移植に対応できる体制を目指し、2013年に始まっています。この事業自身多額の資金がかかっていますが、本年4月には日本人の32%をカバーする3種類のHLA型のiPS細胞を備蓄しています。
ところが同研究所が大学や企業などを対象に実施したアンケートで意外な結果が出ました。「移植に使う際にiPS細胞のHLA型を個々の患者に合わせるか」という問いに、企業3社すべてと、15研究機関の内6機関が「合わせない」もしくは「どちらとも言えない」と回答しました。
基本には免疫抑制剤を使えば、HLA型を合わせる必要がないわけです。さらに将来HLA型ごとに安全性などの試験が必要になったり、多くの課題が存在するためのようです。その他実際に開発を進めている企業では、自社でも作製できるものを、ストックされたものを使って不具合が生じるリスクは避けたいというような思惑もあるようです。
このストック事業の存在意義を揺るがすような新たな技術も登場してきました。アメリカのバイオベンチャーが、遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集技術を使ってiPS細胞の遺伝子を改変し、移植後の拒絶反応を抑える技術を開発したと発表しました。
これを使えば、HLA型を気にせずに移植できる細胞が作成できるかもしれないと注目されています。こういったことから「様々な観点からストック事業の行き詰まりは明らかだが、誰も打開策を持たず結論を先送りにしている」というような意見も出始めています。
安倍政権が再生医療を「成長戦略」の柱の一つに位置付けたことで支援は加速していますが、今後の方向性があいまいなままなのかもしれません。
再生医療全体で見ると海外では、元々体内に存在する体性幹細胞や、胚性幹細胞(ES細胞)を使った研究が先行し、幹細胞を使った臨床試験数では日本は大きく出遅れているようです。
このところ私もiPS細胞研究の成果をあまり見ていませんので、日本独自の戦略が欲しいところです。