ホタルはきれいに光りますが、この能力をいつどのようにして手に入れたのかを解明しました。
基礎生物学研究所と中部大学のグループがホタルのゲノムを解読し、遺伝子の重複と変異によって発光に必要な酵素を獲得したことを明らかにしました。
ホタルは発光の基質である「ルシフェリン」を酵素である「ルシフェラーゼ」の触媒作用で酸化し、光るという仕組みは知られていましたが、こうした能力を獲得した過程は分かっていませんでした。
余談ですが、このルシフェリン-ルシフェラーゼというシステムはかなり昔から実験室では応用されていました。まだ遺伝子工学と呼ばれていた時代ですので、30年以上前の話です。
当時は色々な細胞に新しい遺伝子を入れるという実験が行われていましたが、目的の遺伝子が挿入されたかどうかの確認が難しい課題となっていました。そこで目的とする遺伝子にルシフェラーゼ遺伝子をつないだものを使用したのです。
この遺伝子を導入すると、処理の終わった細胞を顕微鏡で見ながらルシフェリンを加えるのです。遺伝子導入が成功した細胞は、ルシフェラーゼが発現しますので、ルシフェリンによってホタルのように光出すことができます。
私もこの顕微鏡を見せてもらったことがありますが、散らばった細胞の中のあちこちにホタルのような淡い光を放つ細胞があり、なかなか幻想的なものでした。このように全くの素人でも細胞への遺伝子導入が成功したものを選別できるようになったわけです。
さて研究グループは、雌のヘイケボタルのゲノムを解読しました。発光しない生物にも存在する脂肪酸代謝酵素の遺伝子が重複を繰り返し、ルシフェラーゼに変異したことを突き止めました。
またアメリカマサチューセッツ工科大学と共同で北米産ホタルのゲノムを調べたところ、ヘイケボタルと共通の進化の跡が見られました。1億500万年前に両種が分岐する以前の共通の祖先が、ルシフェラーゼを獲得したと考えられるようです。
このような遺伝子重複による進化は、従来仮説にも符合し、医療などで応用が進む化学発光検出システムの改良にも役立つとしています。
ここではルシフェリンについては触れていませんが、これは3種のアミノ酸から合成される比較的簡単なイミダゾピラジノンという化合物ですので、広く生物界には存在しているのかもしれません。
こういった化合物を使って発光するという面白い性質が発光生物にはどんな役割があるのかも興味が持たれる部分です。
基礎生物学研究所と中部大学のグループがホタルのゲノムを解読し、遺伝子の重複と変異によって発光に必要な酵素を獲得したことを明らかにしました。
ホタルは発光の基質である「ルシフェリン」を酵素である「ルシフェラーゼ」の触媒作用で酸化し、光るという仕組みは知られていましたが、こうした能力を獲得した過程は分かっていませんでした。
余談ですが、このルシフェリン-ルシフェラーゼというシステムはかなり昔から実験室では応用されていました。まだ遺伝子工学と呼ばれていた時代ですので、30年以上前の話です。
当時は色々な細胞に新しい遺伝子を入れるという実験が行われていましたが、目的の遺伝子が挿入されたかどうかの確認が難しい課題となっていました。そこで目的とする遺伝子にルシフェラーゼ遺伝子をつないだものを使用したのです。
この遺伝子を導入すると、処理の終わった細胞を顕微鏡で見ながらルシフェリンを加えるのです。遺伝子導入が成功した細胞は、ルシフェラーゼが発現しますので、ルシフェリンによってホタルのように光出すことができます。
私もこの顕微鏡を見せてもらったことがありますが、散らばった細胞の中のあちこちにホタルのような淡い光を放つ細胞があり、なかなか幻想的なものでした。このように全くの素人でも細胞への遺伝子導入が成功したものを選別できるようになったわけです。
さて研究グループは、雌のヘイケボタルのゲノムを解読しました。発光しない生物にも存在する脂肪酸代謝酵素の遺伝子が重複を繰り返し、ルシフェラーゼに変異したことを突き止めました。
またアメリカマサチューセッツ工科大学と共同で北米産ホタルのゲノムを調べたところ、ヘイケボタルと共通の進化の跡が見られました。1億500万年前に両種が分岐する以前の共通の祖先が、ルシフェラーゼを獲得したと考えられるようです。
このような遺伝子重複による進化は、従来仮説にも符合し、医療などで応用が進む化学発光検出システムの改良にも役立つとしています。
ここではルシフェリンについては触れていませんが、これは3種のアミノ酸から合成される比較的簡単なイミダゾピラジノンという化合物ですので、広く生物界には存在しているのかもしれません。
こういった化合物を使って発光するという面白い性質が発光生物にはどんな役割があるのかも興味が持たれる部分です。