ごっとさんのブログ

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人間の軟骨の再生

2019-11-19 10:23:07 | 健康・医療
歳を重ねるにつれ、長年の身体の酷使から軟骨のすりヘリによる膝や腰の痛みに苦しむ人は多いようです。

ところが足首だけは、たとえ捻挫などで負傷しても加齢による軟骨の消耗が現れにくく、関節炎にもなりにくいというメカニズムをヂューク大学の研究グループが発見しました。

この報告によれば、人間の関節の軟骨は両生類であるイモリやサンショウウオの手足の再生と同じプロセスを介して修復できる可能性があるようです。イモリやサンショウウオ、ゼブラフィッシュのように、生物の中には損傷した手足を丸ごと再生できる種がいます。

これらと違って人間は基本的に失った四肢を丸ごと再生することはできません。長年の使用による関節の摩耗や、変形性関節症発症およびスポーツなどのケガが原因となった軟骨の消耗は、いったん損なわれると元通りに再生されることはないと考えられてきました。

研究グループは、ヒトの軟骨におけるコラーゲンなどのタンパク質が、時間の経過とともに変化する過程(脱アミド化)に注目しました。脱アミド化は、生理条件下においてタンパク質からアミドと呼ばれる化合物が取り除かれる変化のことを指します。

新たに生成されたタンパク質には脱アミド化がほとんど見られないが、対照的に古いタンパク質には多く見られるようです。この脱アミド化の仕組みを利用して、ヒト軟骨に重要なタンパク質の「年齢」を推定することに成功しました。

すると人の軟骨の年齢は、身体の部位によって異なることが明らかになりました。例えば足首にある軟骨は比較的若く、膝のものは中年で腰のものは古いようです。これは身体の中心から離れた手足の先端ほど若く、再生しやすい傾向と一致していました。

一般的に膝や股関節の損傷は関節炎につながりやすいのですが、足首の損傷からは重度の関節炎にはなりにくくなっています。研究グループは、このプロセスがマイクロRNAと呼ばれる分子により調節されていることを発見しました。

マイクロRNAは、損傷による四肢再生能力の高い生物において、より活発に働いています。人間の場合、これらは膝や腰と比較して足首で最も活性化しており、軟骨の内部より表面での活性が強くなっていました。

このことからマイクロRNAを活性強化させることで、関節炎により損傷した軟骨を完全に再生できる可能性が出てきたようです。

まだ具体的な治療などは行われていないようですが、サンショウウオと比較して不足している調節因子なども見つかりつつあるようです。加齢で大きな問題となっているすり減った軟骨の再生という課題に挑戦してほしいものです。