ごっとさんのブログ

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「新国民病」慢性腎臓病とは

2019-11-26 10:13:36 | 健康・医療
腎臓の働きが低下して起こる慢性腎臓病(CKD)は「新たな国民病」といわれ、約1300万人もの患者がいると見られます。

こういう推定はかなり多くなりますので、高血圧患者4000万人というのと近いのかもしれません。腎臓は血液中の老廃物を排出したり、身体のバランスを整える様々なホルモンを作ったりする器官です。

CKDが進行するとこれらの機能が損なわれて透析や腎移植を余儀なくされるほか、脳卒中や心筋梗塞の危険因子にもなります。

CKDは10年ほど前に日本に導入された比較的新しい病気の概念で、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症など、いくつかの病気の総称です。腎臓の血液ろ過機能が60%以下に低下した状態、またはタンパク尿などの異常が3か月以上続く状態を指します。

腎臓の中にある「糸球体」という球状に集まった毛細血管や、周囲の「間質」と呼ばれる組織が障害を起こすとろ過機能が低下します。すると老廃物の排出、水分やミネラルの調整、ホルモン精製などのバランスが崩れてしまい、老廃物がたまってくると全身に様々な不調を招き、尿毒症となります。

塩分や水分を排出できない、血圧を調整するホルモンがうまく働かないことから高血圧が悪化します。その他のホルモンやミネラルバランスが狂うことで、血管の石灰化(動脈硬化)が進み、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高まります。

一般的に発症リスクは正常な人の2~3倍とされ、CKDが高度になればなるほどリスクが上がっていくことが知られています。CKDの原因として、動脈硬化や加齢に加え、糖尿病や高血圧などの生活習慣病があるとされています。

腎臓は細かい血管の塊でできており、糖尿病や高血圧、動脈硬化により細かい血管が傷つき、それらの圧が上がることで徐々に腎臓の働きが低下してCKDを発症・悪化させてしまうのです。

ほかには遺伝や感染症、薬剤などが原因となる場合や、原因不明の突発性であることもあるようです。一般に腎臓の機能が15%を切ると、生命を維持するために透析や腎移植を検討します。

慢性腎不全による透析患者は今や約32万人に達し、毎年3万人もの人に透析が導入されており、そのうちの6割は糖尿病や高血圧が原因です。

こういったことから、CKDはもっと注意すべき病気だという認識が高まり、治療介入のタイミングを逸しないためにも、早期発見が非常に重要です。

ただ早期発見できたとしても、腎臓に作用する薬はほとんどありませんので、禁煙するとか減塩・減量といった生活習慣の見直しぐらいしかないというのも、何となく寂しい気がします。