ごっとさんのブログ

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格差社会は平和の代償

2019-11-06 10:05:04 | 時事
日本は高度経済成長によって分厚い中間層が生まれ、「1億総中流」と呼ばれる時代が長く続きました。

それが崩壊して「格差社会」が到来し、格差は開く一方でその差を埋められないどころか、先進国を中心に上級/下級への分断はますます加速しています。

かつて1億総中流と呼ばれた時代は、富の蓄積が平均値を中心に正規分布する「ベルカーブの世界」でした。しかしグローバル化によって世界が全体として豊かになり、先進国と新興国の間の格差が縮小したことの代償として、先進国では中間層が崩壊し富が一部の富裕層に集まる「ロングテールの世界」が出現しました。

つまり中流の下にいた人たちが貧困層側に集まり、中流の上の人たちは富を増やしていくという構図です。アメリカでは最富裕の上位400人が所有する富が下位50%の富の合計を上回り、上位1%が同国の個人資産の42%を所有しています。

しかしこれは「1%対99%」に富が局在しているという事ではなく、10世帯に1世帯(10%)がミリオネア(金融資産100万ドル以上)となっており、後戻りできない流れになっています。

こういった格差は社会が平和で安定しているからこそ拡大していきます。資産は複利で増えていきますから、毎月の余裕資金を株式などに積み立てていけば、30年、40年後には大きな資産を形成できます。

それに対して毎月稼いだ分をすべて生活費に使ってしまえば、いつまでたっても銀行口座の残高は増えません。これを2世代、3世代と繰り返せば、両者の経済格差はとてつもなく大きなものになるでしょう。

これが平和な社会では富裕層と貧困層に分断されるメカニズムです。歴史的に見れば平和な時代には、どこでも格差が拡大していますが、こうした不平等を是正する4つの方法があるようです。

それが「戦争」「革命」「(統治の)崩壊」「疫病」といわれています。世界大戦や文化大革命、ペストの蔓延のように「とてつもなく酷いこと」が起きると、それまでの統治構造は崩壊し、権力者や富裕層は富を失い平等が実現するのです。

しかしこれはだれも望まないマイナスの平等といえます。確かに戦前までは格差社会であった日本が、戦後になって突如1億総中流になった理由を説明しているのかもしれません。

それだけ富の分散は難しいし、一旦できた流れは変えられないものかもしれません。この理論によれば、これから経済がどんなに成長しても新しい富は富裕層に流れるだけという事になりますが、もう一度1億総中流になるぐらいの経済発展を国には望みたいものです。