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iPS細胞研究で日本の「存在感が低下」

2023-09-19 10:32:19 | 健康・医療
iPS細胞による再生医療の話はこのブログでもいろいろ取り上げていますが、発見からずいぶん年月が経っていますが、まだ基礎研究だけで実用化はまだまだ先のようです。

この進展が遅いひとつの理由に多額のコストがあるのかもしれません。報告されているiPS細胞を用いた再生医療では、比較的簡単そうなものでも数千万円という高価な医療となっています。

なぜこんなに高額になるのかよくわりませんが、これでは一般に使うには程遠いと言わざるを得ません。さて最近このiPS細胞の研究開発の日本の有意性が揺らいでいるという記事を見ました。

論文数や特許数は海外にリードを許していて、製薬企業が患者に試している段階の治療法の件数は、近年海外の製薬企業の追い上げもあります。この辺りは企業や研究機関の資金の潤沢さが出ているのかもしれません。

iPS細胞を実際の患者に試す研究は、2014年に日本の理化学研究所などが、世界で初めて目の病気で実施しました。特許庁の報告書によると、2022年4月時点で企業が関わる開発段階の治療法の件数は、日本が7件に対し、米国10件、中国3件、豪州4件となっています。

日本はiPS細胞から作った細胞で失われた臓器の機能を回復させる「再生医療」の件数が多くなっています。海外には日本よりも進んだ開発段階のものもあり、正式な承認を受ける「一番乗り」は、海外の方が早くなるかもしれません。

米国ではガン治療への応用に力点があります。今年に入って撤退などがあり米国立保健研究所(NIH)のサイトで調べると8月時点で4件に減っています。ただガンの治療法は分野全体の知見も多く、実用化への道筋は見えやすいようです。

研究開発の基盤となるiPS細胞関連の論文数は、2018〜21年の推移をみると、日本は年100件ほどで横ばいだったのに対し、中国は90件から200件近くまで増え、2020年に日本を抜いて4位になっています。

実用化に重要な関連の特許出願数(2016〜20年)の総数は米国、中国に次いで3位でした。ただし再生医療のための特許に限ると、中国を上回り米国に次いで2位となっています。

このようにiPS細胞研究に日本の存在感が薄れてきたようですが、iPS細胞自身は素晴らしい発見だと思っています。これを治療のために実用化できればよいのであって、それが日本でなくても構わないと思っています。

海外がこの高額なコストをどうするのか分かりませんが、一刻も早く再生医療や代替医療として、普通の(超高額ではない)治療法が開発されることを期待しています。


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