ごっとさんのブログ

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エタノールが植物を乾燥に強くすることを発見

2022-09-29 10:35:43 | 
私は夕食の時は必ずビールを飲むことにしていますが、かみさんとロング缶1本ですので酔うほどではありません。

その後風呂から出てきたとき軽く寝酒を飲むのですが、このところウイスキーの水割りが多くなっています。今年は梅の実が不作でしたが、2Lほど梅酒を作りましたのでそろそろ飲める時期かもしれません。

このようにアルコール(エタノール)の恩恵にあずかっていますが、植物もエタノールを与えると乾燥に強くなることを発見したと、理化学研究所の研究グループが発表しました。

気候変動や人口増加による食糧不足を解決するためには、環境ストレスに強い作物の開発が有効と考えられます。研究グループはこれまでに、植物にエタノールを与えると塩や強い光、高温に強くなることを明らかにしていました。

これらに続き乾燥に強くなるかどうかや、その仕組みを調べました。実験によく用いられるモデル植物のシロイヌナズナに低濃度のエタノールの水溶液を根から3日間与えたのち、12日間にわたり給水を絶ちました。

続いて4日間給水して観察したところ、比較のため水しか与えなかったものはほぼしおれてしまったのに対し、エタノールを与えたものは再び葉が育ち生存率が高まっていました。エタノールの濃度が10ミリモルの場合に最も効果が高く、コムギやイネ、キャッサバでも効果が認められました。

エタノールを与えると、水を蒸散する気孔の閉鎖が促され、細胞内の水分が減りにくくなっていました。またエタノールが植物体内に取り込まれて代謝され、酢酸や糖、アミノ酸ができて蓄積していました。

気孔が閉じて二酸化炭素の取り込みが減るものの、体内で作られた糖により成長が維持されることや、グルコシノレート、フラボノイド、アントシアニンなどの乾燥耐性に関わる有用な物質が多く作られ蓄積することも分かりました。

エタノールを与えると、こういった効果が組み合わさって乾燥に強くなると考えられます。面白いことに乾燥時に体内に蓄積する植物ホルモンの「ABA」の働きを妨げると、エタノールの効果はなくなってしまいました。

エタノール自体は比較的安価(酒は別格に高いのですが)で入手しやすく、さまざまな栽培技術の開発につながると期待されています。研究グループは、簡便かつ安価に旱魃に対処できる技術として応用でき、有用な代謝産物の多い作物の開発も期待できると述べています。

エタノールのヒトに対する作用は非常に詳しく調べられていますが、植物でも予想外の効果がある可能性があり、今後の展開に期待できる成果といえそうです。


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