私が受験をしたもう半世紀も前のころには「四当五落」という言葉があり、睡眠時間4時間で頑張れば合格するが5時間も寝てしまうと落ちるという意味でした。
寝食を忘れて頑張るのが美徳された高度成長期の昭和らしい造語といえそうです。睡眠不足があると十分なパフォーマンスが発揮できず、かえって損をするという科学的な知見が増え、最近の受験の指導書では「六当五落」などに代わってきているようです。
睡眠時間を削ってやみくもに記憶するよりも、新しい単語や動作を覚えた後にぐっすり眠ると記憶をよりしっかりと保つことができる(記憶固定)ことがヒトや動物のを対象にした数多くの研究で明らかにされています。
睡眠不足は単に日中の眠気や集中力低下をもたらす結果として学習効率を低下させるだけでなく、記憶を固定するために必要な脳内の神経活動を妨害することが明らかになっています。
睡眠不足時にはせっかく新たに獲得した記憶を失ってしまう、もしくは記憶すること自体が難しくなるような印象ですが、必ずしもそうではないようです。
最近オランダのフローニンゲン大学の研究者は、睡眠不足の時には記憶を引き出す力が低下するが、必ずしも不可逆的ではなくある方法によって思い出せることを示しました。
動物が新たな記憶を獲得する際に海馬内で特定の神経活動が活発化し、神経細胞間の結合(シナプス結合)が増加する結果、記憶したエピソードや技能に連動して活動する神経細胞ネットワークが形成されます。
これらは「記憶エングラム」と呼ばれ、記憶を保持したり想起する際に再度活性化する必要があります。フローニンゲン大学の研究者は、マウスを飼育ケージから物体をいくつか置いたアリーナに移して自由に探索させました。
マウスは好奇心が強く熱心に物体を探索し、その位置を記憶します。数日後に物体のひとつを移動させて再度アリーナに入れたところ、記憶固定期に睡眠不足にさせられたマウスはすべての物体を均等に探索しました。
これは先に探索した物体の配置を記憶できていないことを意味します。ところが「光遺伝学」という手法を駆使して睡眠不足マウスの記憶エングラムを外部から活性化させると、睡眠不足の影響がみられず、新たに移動した物体を集中的に探索し始めました。
こういった記憶エングラムを刺激する方法として、日本では未承認ですが海外では喘息などの治療薬として承認されているロフルミラストという薬物を投与すると、光による記憶エングラムの活性化と同様の効果が得られることが分かりました。
これを試験前に服用するにはまだ長い臨床試験がありますし、人で成功するかも不明です。こういった薬剤での活性化よりは、単に良く寝ても同じような活性化ができるというのが簡単な方法といえるようです。
寝食を忘れて頑張るのが美徳された高度成長期の昭和らしい造語といえそうです。睡眠不足があると十分なパフォーマンスが発揮できず、かえって損をするという科学的な知見が増え、最近の受験の指導書では「六当五落」などに代わってきているようです。
睡眠時間を削ってやみくもに記憶するよりも、新しい単語や動作を覚えた後にぐっすり眠ると記憶をよりしっかりと保つことができる(記憶固定)ことがヒトや動物のを対象にした数多くの研究で明らかにされています。
睡眠不足は単に日中の眠気や集中力低下をもたらす結果として学習効率を低下させるだけでなく、記憶を固定するために必要な脳内の神経活動を妨害することが明らかになっています。
睡眠不足時にはせっかく新たに獲得した記憶を失ってしまう、もしくは記憶すること自体が難しくなるような印象ですが、必ずしもそうではないようです。
最近オランダのフローニンゲン大学の研究者は、睡眠不足の時には記憶を引き出す力が低下するが、必ずしも不可逆的ではなくある方法によって思い出せることを示しました。
動物が新たな記憶を獲得する際に海馬内で特定の神経活動が活発化し、神経細胞間の結合(シナプス結合)が増加する結果、記憶したエピソードや技能に連動して活動する神経細胞ネットワークが形成されます。
これらは「記憶エングラム」と呼ばれ、記憶を保持したり想起する際に再度活性化する必要があります。フローニンゲン大学の研究者は、マウスを飼育ケージから物体をいくつか置いたアリーナに移して自由に探索させました。
マウスは好奇心が強く熱心に物体を探索し、その位置を記憶します。数日後に物体のひとつを移動させて再度アリーナに入れたところ、記憶固定期に睡眠不足にさせられたマウスはすべての物体を均等に探索しました。
これは先に探索した物体の配置を記憶できていないことを意味します。ところが「光遺伝学」という手法を駆使して睡眠不足マウスの記憶エングラムを外部から活性化させると、睡眠不足の影響がみられず、新たに移動した物体を集中的に探索し始めました。
こういった記憶エングラムを刺激する方法として、日本では未承認ですが海外では喘息などの治療薬として承認されているロフルミラストという薬物を投与すると、光による記憶エングラムの活性化と同様の効果が得られることが分かりました。
これを試験前に服用するにはまだ長い臨床試験がありますし、人で成功するかも不明です。こういった薬剤での活性化よりは、単に良く寝ても同じような活性化ができるというのが簡単な方法といえるようです。
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