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危機に陥った森を守るシロアリ

2019-03-03 10:31:17 | 自然
シロアリが、危機に陥った熱帯雨林守る「保険」のような役割を果たしていることが、最新の研究で明らかになりました。

シロアリは、森の掃除屋として落ち葉を食べ、トンネルを掘って土壌を換気し、生態系全体の「土木工事」を請け負っています。しかし森の健全な機能を維持する上でどれほど重要な役割を果たしているかは、これまで正確には分かっていませんでした。

イギリスヨーク大学の研究チームは、ボルネオ島のマリアウ盆地の特定の区域からシロアリを排除し、その影響を観察することでシロアリの役割を解明し発表しました。

研究チームが実験を始めたのは、2015年から2016年にかけてでしたが、この時期はエルニーニョ現象が発生し、森が極度の干ばつに見舞われていた時でした。

この時シロアリが例年の2倍近くに大繁殖し、干ばつに見舞われた森を健全に保つ役割をしていることが分かってきました。シロアリが多い場所では、土壌の湿度が保たれ、より多くの若木が芽吹き、長期にわたる厳しい干ばつにもかかわらず、生態系に異常が見られなかったようです。

シロアリの評判は悪く、アメリカでは毎年巨額のシロアリ被害が報じられ、インドの銀行では文字通りお金が食べられてしまったこともあるようです。私の家も建てる時シロアリ駆除用シートのようなものを入れましたが、そろそろシロアリの被害があるかを調査する時期に来ているようです。

さて研究チームは、シロアリ以外の生物は一切食べない毒入りのセルロースを蒔くことで、森の中の中から局所的にシロアリの数だけ抑制しました。このセルロースを蒔いた後には、シロアリがほとんどいない生態系が残ります。

これを通常の生態系と比較することで、シロアリの正確な役割を解明しました。干ばつが起きなかった年には、通常の区画とシロアリを抑制した区画との間に、大きな違いは見られませんでした。しかし干ばつが起きるとその差は歴然と現れました。

落ち葉を食べるシロアリが多い区画では、土壌は乾燥せず若木が芽吹き、森は過去20年で最悪の干ばつにもびくともしませんでした。

このようにシロアリが森を気候変動から守っているのですが、ボルネオ島を含め、世界中で残されている熱帯雨林のほとんどは、完全な状態ではなくその多くでシロアリの生息数が激減しているといいます。

研究チームは今回の研究成果は、ボルネオや世界中の熱帯雨林における生態系の相関関係について、まだまだ研究する余地があることを示すものとしています。生態系におけるシロアリの真の重要性を明らかにできたのは、たまたま干ばつの時期に研究を行ったからにすぎないようです。

私も含め悪者とされているシロアリも生態系の中に役割があるということは、嫌われ者のゴキブリなどもそれなりの役割を果たしているのかもしれません。

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