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iPS細胞と再生医療の進展

2017-01-16 10:32:03 | 健康・医療
最近iPS細胞やES細胞から、色々な臓器を誘導できたというニュースが報道されています。

こういった万能幹細胞から、目的とする細胞への誘導には「分化」という壁をクリアする必要があったのですが、完全ではないものの誘導可能になったようです。

このうち一つは理化学研究所のグループの発表で、iPS細胞から作った網膜細胞で、網膜色素変性症で失明したマウスに光を感じさせることに成功しました。理研はすでにこの網膜を使った人の加齢黄班変性の患者に移植する実験を行っていますが、あらたな病気への展開を試みたものです。

研究チームはマウスのiPS細胞から作った細胞シートを末期の変性症のマウスに移植し、光を感知できるようになるかを実験しました。その結果移植したマウスの約4割が健康なマウスと同じように光を感知したとしています。また移植したシートは、網膜内の他の細胞と連携し、脳に伝わる直前の細胞まで視覚情報が届いていたようです。

この成功例が4割というのは低いような気がしますが、これは網膜内の移植場所などの検討課題のようです。網膜の細胞は単に塊となったものをシート状にするだけですので、比較的簡単なものと考えていましたが、移植した細胞が神経細胞や血管とつながらないと正常に機能しないので、この部分を生体の修復能力に頼ることになります。

色々な臓器が作れればすぐに再生医療に応用できるような感じがありましたが、どうもまだ課題は多そうです。

次が国立成育医療センターのグループが、ヒトのES細胞(胚性幹細胞)から機能を備えた「ミニ小腸」を作り出すことに成功したと発表しました。

腸は臓器の中でも構造や機能が複雑で、色々な細胞に成長できるES細胞やiPS細胞から人工的に作り出すのは難しく、これまでに作成が報告されているのは表面部分のみのようです。研究グループは約5000個のES細胞が1カ所に集まるように設計した特殊な皿を使って培養したところ、この集合体は約2か月で大きさが1センチほどの立体的な小腸に成長したとしています。

腸が食べ物を送り出す際に、伸びたり縮んだりする蠕動運動が見られたほか、栄養分や薬の成分を吸収する能力もあったようです。このグループはiPS細胞からも同様な小腸作製に成功しています。まだ移植などへの応用は難しいようですが、薬が腸管吸収するかどうかを直接確かめるツールになりそうです。

このように多くに研究機関が様々な臓器の研究を行っており、再生医療という言葉が現実味を帯びてきたような気がします。

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