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ガンを治療する「ガンワクチン」そのメカニズムと有効性

2023-02-06 10:48:37 | 健康・医療
ワクチンについては、コロナの多重接種が推奨されており、ワクチンという言葉も一般化しています。

最近「ガンワクチン」という言葉を時々目にするようになりましたが、予防というよりは治療に使う試みが進んでいるようです。

ガンを治療するために自然の免疫系を利用する方法をガンワクチンと呼んでいるようですが、本来のワクチンとはやや異なっています。ガンワクチンはガン細胞の「顔つき」を免疫細胞に教え込んで、免疫細胞がガン細胞を見つけて破壊できるようにさせます。

このいわば「教育」というプロセスが、サイトカインや抗体などを治療に活用したり、患者の免疫細胞の遺伝子を改変してガン細胞と闘わせたりする他の免疫療法と異なる点といえます。

ガン治療用ワクチンの中には、免疫細胞の「樹状細胞」を利用するものもあります。患者の血液サンプルから樹状細胞を取り出し、その患者のガン細胞から得た主要なタンパク質にさらして樹状細胞を教育するというものです。

患者の体内に戻された樹状細胞は、T細胞などの他の免疫細胞に対し、ガン細胞を見つけて破壊するように刺激したり教えたりすることが期待されるわけです。T細胞には腫瘍細胞の表面にあるタンパク質を認識し、結合する受容体があります。

いったん結合すると、T細胞は腫瘍細胞に穴を開けて破棄します。ガン治療用ワクチンのカギとなるのは「腫瘍関連抗原」というタンパク質です。これが健康な細胞よりもガン細胞の表面に大量に存在したり、異常や変異がある形で存在したりすると、免疫反応が引き起こされます。

T細胞が腫瘍関連抗原を「発見」すると、細胞をガンと認識して破壊します。実際は患者個人のガン細胞に固有の抗原を特定し、それと他の患者から採取した腫瘍特異抗原を組み合わせてワクチンを作製しています。

問題は患者個人によってこの腫瘍特異抗原が異なっており、なかなか誰にでも使用できる一般的な抗原は見つかっていないようです。

またガン細胞には過剰に存在するが、健康な細胞にも少量は存在する分子を標的とするワクチンの効果には限界があり、有効な免疫反応を引き出せないという問題もあります。具体的なものとしては、モデルナ社が開発中のmRNAワクチンの治験結果を発表しました。

この治験はステージ3,4のメラノーマ患者に対して実施されたものです。この結果はワクチンを接種すると、コントロールと比較して皮膚がんの再発または死亡が44%少なくなりました。

このワクチンは個々の患者に合わせて作られた個別化mRNAワクチンであり、34の抗原に対してT細胞の反応を引き起こすように免疫系に指示するものです。

このようにガンワクチンの研究開発は進んでおり、新たなガン治療の選択肢となるのかもしれません。


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