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ガン免疫療法の効果を事前に判定

2020-02-27 10:24:30 | 健康・医療
ガン免疫療法のひとつである免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体の有効性を判定する手法を見つけたと、京都大学の本庶先生のグループが発表しました。

一部のガン患者に劇的な効果がある一方で、無効な患者も多いPD-1抗体投与法の改善につながる可能性があります。

PD-1 阻害抗体の登場により末期ガン患者の長期有効例や完治例がみられ、ガン治療のありかたが大きく変化しました。しかし、無効例も多く存在し、PD-1 阻害抗体治療の効果を予測するバイオマーカーの開発が期待されています。

腫瘍免疫は、文字通り腫瘍側と免疫側の両方の要因によって制御されますが、これまでのバイオマーカー探索は、腫瘍側の要因を調べる研究が主であり、免疫側の要因に関する研究は少なかったようです。

研究グループはPD-1 とPD-L1 の結合を阻害することで、免疫細胞が活性化しガンを縮退するがん免疫治療法の開発を行ってきました。現在ではこの「PD-1 阻害がん免疫治療法」がヒトの各種ガンで幅広く実用化されています。

近年、免疫細胞の活性化には免疫細胞のエネルギー代謝状態が深く関係していることを見出しました。

PD-1 阻害抗体で治療を受けた肺がん患者の血中免疫細胞のエネルギー代謝状態や血中代謝産物を調べることが、PD-1 阻害抗体に無効な患者を見分けるバイオマーカーになるのではないかという仮説を立てて検証しています。

PD-1 抗体で治療を受けた肺がん患者から治療前後の血液を採取しました。血液の成分である血漿の247 項目の代謝産物を調べた結果、PD-1 抗体投与後4 週までに採取した血漿中の腸内細菌由来代謝産物 、エネルギー代謝関連代謝産物 、活性酸素関連代謝産物2種から成る4項目の組み合わせが、PD-1 抗体の効果を良く判定できることがわかりました。

さらにT 細胞を調べた結果、治療投与後2 週までのT 細胞の疲弊度合い、T 細胞ミトコンドリアの活性化度合いに関連するマーカーとヘルパーT 細胞頻度から成る合計4項目の組み合わせが、PD-1 阻害抗体の効果を非常に良く判定できることがわかりました。

相関解析の結果、これらの血漿中の代謝産物とT 細胞の活性化及びエネルギー代謝状態は強く相関していることも確認できたようです。

これら強い相関関係により、調べた全代謝産物と全T 細胞マーカーから、最終的には上記のT 細胞マーカー4項目が最も判定効果の高いバイオマーカーとして選ばれています。

オプジーボは非常に高価な割には有効率が20%程度と言われていますので、こうした判定により効くはずの症例が特定できれば使いやすくなるのかもしれません。


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