ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ハエの脳は運動と情報を区別

2017-09-26 10:40:04 | 自然
理化学研究所の研究グループは、バーチャルリアリティの技術を使って、ハエの運動、視覚などの情報を区別して伝える脳の神経回路があることを見つけました。

研究グループによると、哺乳類のほか昆虫を含む動物は、記憶や視覚などの感覚さらに自分自身の動きなど様々な情報を組み合わせて、えさや交配相手を探すとされています。

例えば視覚と記憶を使って過去に食べ物を得た場所に戻ってくることで、餌を見つける時間を短くしたり、自分がどの方向にどれくらい動いたかを計算することで、今自分がどこにいるかを知るようです。しかし脳がこうした情報をどのように処理しているか詳しい仕組みは分かっていませんでした。

研究グループは脳が大きく仕組みも複雑な哺乳類ではなく、体長3ミリのキイロショウジョウバエ(いわゆるコバエ)を実験対象に選択しました。

コバエの脳内の情報処理の仕方を調べるには、コバエを固定しなくてはならないため、固定したまま羽ばたきに応じて景色が変化するバーチャルリアリティの装置を作成しました。

この装置を使うと、ハエをピンで固定させたまま羽ばたきをさせ、この羽ばたきからハエがどの方向に飛ぼうとしているかを推定し、これに応じて景色を動かすことでハエがあたかも空間を飛んでいるような探索行動の状況を作り出して脳活動を記録しました。

文章に書くと簡単ですが、現実的にはすごい装置だと感心します。今はいろいろなセンサーも優れているといえ、翅の動きで飛ぶ方向や速度を調べ、それに合わせた景色を写すというのは、装置の開発だけでも大変そうです。

この装置を使った様々な実験を行い、実験データを解析した結果、ハエは今見ている景色だけでなく、数秒前に見た景色の記憶を使って次にどこに飛ぶかを決めており、そうした探索行動をつかさどるのは「バルブ」と呼ばれる脳の領域であることが判明しました。

この部位の特定は、脳活動を抑制する実験によって決定しましたが、このバルブの活動を抑えるとハエの記憶能力が損なわれるそうです。またバルブは記憶、運動、視覚という3種の異なる情報を伝えており、このうち記憶と運動の情報は異なる細胞群によって担われていることが分かりました。

また記憶の情報を伝える神経回路と自分の運動の情報を伝える神経回路は、脳内で並行して走る異なる回路であることが分かったようです。研究グループは、ハエのこうした並行神経の仕組みにより、様々な情報が混線することなく的確な探索行動ができるとしています。

この研究結果がどういう意味を持つのか分かりませんが、脳という調べるのが困難な領域も研究対象となってきたようです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿