日常生活で気づけない「骨粗しょう症」のはなし

家のかみさんは何年か前骨密度の検査を受け、骨粗しょう症の疑いがあるとして薬を処方されていました。

ところが歯の治療でインプラントを入れることになると、この薬は飲まない方が良いと言われ、インプラントは完成したのですが薬は飲んでいないようです。

骨粗しょう症は女性にとって身近な病気である割には、自覚症状もないのですぐ忘れてしまうような病気です。進行すると骨折の危険性が高まり、最悪の場合は寝たきりの原因にもなる骨粗しょう症の話です。

骨粗しょう症は骨の強さが低下し、骨折が発生する可能性が高くなる疾患です。その大きな原因は加齢変化で、閉経後の女性の女性ホルモン（エストロゲン）量の急激な減少です。高齢化が進行している現代の日本では、約1000万人以上の患者がいると推測されています。

また多くの病気の治療に用いられるステロイドホルモン製剤も骨粗しょう症を起こすことが知られており、比較的若い人でも対応が必要です。骨粗しょう症により骨折しやすい骨は、ギョウ骨遠位端（手首）、大腿骨頸部（太ももの内股関節に近い部分）、そして脊椎（せぼね）です。

手首を骨折した場合、手術や1カ月程度のギプスでの固定が必要となります。大腿骨に骨折が発生した場合、自然に治癒することはなく長期間の寝たきりの原因になるため、大部分の症例で手術が必要となります。

手術は骨折の形態によって、金属で固定する方法や人工関節を挿入する方法が適宜選択されます。脊椎の骨折は痛みを伴わずいつの間にか発生していることもあり、こうした骨折はたまたま撮影したX線検査などで発見されます。

骨折が発生すると、仮に骨折が完全に治癒したとしても、何らかの不自由さを残すこともあり、最悪の場合は寝たきりになることもあります。

骨粗しょう症の予防は普段の生活のちょっとした工夫で可能で、例えばカルシウム、ビタミンDなどの接種を心掛けることで予防できる可能性があるようです。サプリメントを取るよりも、こうした成分を多く含む乳製品、魚、納豆や海藻類を意識的に食事に取り入れることが良いとされています。

骨粗しょう症は骨折が発生するまで症状が出ないため、閉経後の女性やステロイドホルモンを使用している場合など、機会を設けて骨の状態を調べることが必要です。

一般的なX線撮影でも骨の状態を観察し骨粗しょう症があるかどうかは判定することはできますが、薬物治療が必要かの判断には骨密度を測定することが必要です。

薬物として多く用いられているものは、活性型ビタミンD誘導体や副甲状腺ホルモン、ビスフォスフォネートと呼ばれる物質や抗RANKL抗体などがあり、重症度に応じて適宜選択されます。

骨粗しょう症は何の症状もありませんので、注意しにくいのですが若干食事の内容に気を付ける程度なのかもしれません。