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「痛み」の客観的な評価

2019-10-11 10:25:15 | 健康・医療
アメリカではオピオイド(麻薬系鎮痛薬)への依存が社会問題となっているようです。正しい処方のための研究が進められていますが、これが痛みを適切に評価する手法です。

テクノロジーによって痛みを「客観的」に評価する手法の開発が期待されていますが、こうした技術は人が持つバイアスを増幅させる危険性も指摘されています。

痛みの感じ方は人によってばらばらで、痛みへの耐性は遺伝や人生経験によっても左右されます。ある人にとっては激痛でも、他の人にとっては多少の不快感でしかないこともあります。

こうした曖昧さが痛みの評価に関する科学の不正確さの原因となり、それが患者のいら立ちにもつながっています。医師の判断が、必ずしも患者本人は感じる痛みの大きさと釣り合うわけではありません。

痛みの原因になるものが何もないと診断されることもあるくらいです。その様な診断が下った時、患者の多くはセカンドオピニオンをほかの医師ではなく、テクノロジーに求めるようになってきているようです。

現在は日々感じる痛みを記録したりするアプリは多く、どれも慢性痛を抱える患者に向けて痛みの傾向を知ろうと宣伝されたものです。なかには痛みの強さを1~10の尺度で記録する代わりに、アニメーションで表現するアプリも存在します。

こうしたアプリやサービスをはじめ、痛みの評価にテクノロジーを利用する研究、あるいは痛みの研究全般においてよく目にするのが「客観性」となっています。

この痛みを客観的に見るというの本当に難しく、私は痛みに強いというかあまり感じない方で、かみさんは大げさに騒ぐ方です。私が痛いといったときとかみさんの痛さが、どちらが客観的に痛いかなどテクノロジーを使っても比べようがないもののような気がします。

それでもこういった研究は、「痛みという経験に客観性を導入しよう」という呼びかけが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が鎮痛作用のある医療用麻薬であるオピオイド過剰処方抑制の一環として実施しています。

データとテクノロジーを組み合わせれば、人類がこれまでできずにいた、他者の痛みを正確に知ることができるとしています。いまのところ、他者の痛みを正確に推し測る最良の方法は、痛みについて質問するという単純な方法しかありません。

しかしこれもテクノロジーにより、より正確な情報を得る試みがなされています。ニューヨーク大学の研究チームは、ガン患者のケア改善を目的に頭頸部ガン患者向けの電子患者訪問アセスメントという手法を開発しました。

これはiPadを使った調査で、痛みのある場所にタップして、痛みと生活の質についての質問に「はい」か「いいえ」で答えていくという単純なものです。こういった手法により痛みを正確に知ることで、適切な対処ができるようですが、まだまだ痛みは未知の部分が多いような気がします。


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