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偽の薬と知っても効果が出るプラセボ効果

2022-07-22 10:27:30 | 
このブログでも「プラセボ効果」については何回か取り上げ、何の薬効もないプラセボで病気を治すことが究極の医療ではないかと思っています。

プラセボ効果を得るためには、それがプラセボ(偽薬)であることを被験者に知らせないことが重要であると考えられてきました。

ところがここ数十年で最初から被験者にプラセボであることを知らせるオープンラベル(非盲検試験)の有効性を検証する研究が複数実施され、多くの場合症状が緩和したという結果が出てきました。

例えば頸椎損傷でひどい痛みのある患者に、香料をかいてからオピオイドの鎮痛薬を飲むという行動を3日間続け、その後香料の後にプラセボと分かっている偽薬を飲んだところ、痛みが止まったという実験があります。

これまでのところどの治験も小規模なものばかりですが、結果は少しずつ積みあがっています。2021年に発表された総説論文は、800人近い被験者が参加した13の治験を評価し、オープンラベル・プラセボが優れた有効性を示しているという結論に達しています。

従来の臨床試験では、被験者は本物の薬を受け取るのかそれともプラセボかは知らされていません。治験データを評価する科学者にも知らされていないため、結果を直接比較することができて、偏見の入り込む余地が少ないとされています。

プラセボと知らずに受けた被験者にも症状が緩和したという例が相次ぎ、これがやがてプラセボ効果として知られるようになりました。患者が有効な薬と信じるだけで、脳はエンドルフィンなどの化学物質を分泌し、治癒を促す可能性があるとしています。

アメリカの研究者たちは、過敏性腸症候群の患者80人を対象に、無作為臨床試験を実施しました。被験者のうち半分にはプラセボのカプセル2錠を1日2回処方し、残りの半分には治療を施しませんでした。

プラセボ群にはカプセルに有効成分は入っていないことと、プラセボが自己治癒のプロセスを引き起こすという治験効果があることを説明しました。すると3週間後、プラセボ群は対照群と比較して症状が大幅に改善したという結果が出ました。

2018年に発表された論文によると、従来のプラセボは痛みと治癒に関係する神経伝達物質を活性化させるようです。プラセボであることを知っていても、同じことが起こっているのは間違いないとしています。

こういったプラセボと分かっていても効果が出ることについては、まだ明確な説明はできていないようですが、一説によると薬(偽薬ですが)を飲む行為が活性化を促すとか、偽薬を与えるのが医師であることが重要といった解説も出ているようです。

こういった研究が進めば、何の作用もない偽薬によって病気を治すという、私の目標に近づいてくるような気もします。



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