ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

普及する生体認証システム

2017-11-25 10:40:29 | その他
顔立ちや指紋など、一人ひとりで異なる身体的な特徴を利用して、本人確認をする「生体認証」が様々な場面で使われるようになっています。認証方法の技術の進歩やスマートフォンへの搭載で普及が進んでいるようです。

本人確認をする個人認証には大きく3つの方式があります。まず一番広がっているのが、本人だけが知っている暗証番号やパスワードを打ち込む方法です。次がICカードやクレジットカードなどを持ち歩く方法で、最後が自分自身の生体情報を使う生体認証です。

パスワードのように記憶する必要もなく、カードのように紛失する恐れもないところが生体認証の強みです。

今実際に多く使われているのは、古くから本人確認に用いられた指紋のほか、光彩にある瞳孔の周りのしわや、手のひらや指先にある静脈のパターン、顔の目や鼻、口の位置関係などです。

この条件としては大半の人が登録可能な生体情報であること(普遍性)、その情報で個々の人を特定できること(唯一性)、年齢を重ねても変化しないこと(永続性)を満足しています。

まずそれぞれの情報をカメラやセンサーで読み取って、特徴をコンピュータで扱えるよう数値化し、データとして登録しておきます。利用の際には、照合用の情報をその場で取得し、登録データと比べて一致不一致を判定するわけです。

私が勤務していた会社の医薬の研究所の動物管理棟が新築されたとき、20年以上前ですが指紋認証が導入され感心しました。しかし中で作業するときは必ず手袋をしますので、その着脱が面倒ということでカード認証に変わったようです。やはり状況に応じたシステムが必要ということのようです。

ここ数年で目立つのが、指紋認証つきのスマフォです。2013年では出荷台数の3%ほどだった指紋センサー付きのスマフォが、今年は5割を超える見通しのようです。

また最近は人の目鼻立ちの特徴をとらえた顔認証技術を活用する現場が増えています。すでにテーマパークの入場者管理やイベント会場での警戒、国際空港での出入国管理などに用いられています。

少し前双子の芸人が、この顔認証システムで区別がつくかを試したところ、二人を違う人間として認識したという記事を見ました。現在の顔認証システムは、少々変装しても見抜く技術があるようですので当然かもしれません。

こういった新しいシステムが導入されると、必ずそれを悪用する人間が出てきますので、いかに信頼されるシステムを作るかが今後の課題となるでしょう。


アリの行動を支配する寄生菌

2017-11-24 10:43:10 | 自然
スイスバーゼル大学の研究グループが、アリの体内を乗っ取り「ゾンビアリ」とするメカニズムを発表しました。

熱帯雨林に住むオオアリは、ある菌類に肉体を乗っ取られその命令のままに動くという不可解な行動をとることが知られていました。通称「ゾンビアリ」と呼ばれるこの行動の謎が新たな研究によって解明されつつあります。

この寄生性の菌類は、アリの体内に侵入すると宿主を支配し、やたらに動き回る無為な生活を送らせた後、葉や小枝の下側にかみついたまま死を迎えさせるのです。最後には死んだアリの頭部からこの菌類の子実体を伸ばし、地面に向かって胞子を放出します。下では何も知らないアリたちがこれを浴びて、同じようにゾンビアリになっていくのです。

アリのマインドコントロールのようなことを、菌類がどのように行っているのかは正確にはわかっていませんでした。研究者はこれまで、菌類がアリの脳に直接入り込むと考えられていました。

今回スキャンした標本をコンピューターで3Dモデル化し、さらに人工知能(深層学習機能)を用いた画像識別技術を使って分析しました。

その結果、このアリに寄生するタイワンアリタケと呼ばれる菌の仲間は、アリの全身に侵入しているものの、脳には全く手を付けていないことが分かりました。この菌は脳に直接働きかけるのではなく、筋肉に微調整を加えアリを人形のように操るものの脳は無傷で残しているようです。

脳をそのままにしておくのは、宿主を死の間際にほかのアリを感染させる場所まで連れていくのに、脳が必要だからではないかと推測しています。このように脳からの正しい指令をブロックし、筋肉に別な指令を出すというのは、まるでSFの世界のようで恐ろしい気もします。

アリの巣内の環境はこの菌の生育に適していないため、アリの巣に直接この菌が入り込むことはできないようです。これは巣の中に入り込むと、それが全滅してしまう恐れがありますので、適度に繁殖するという菌の知恵なのかもしれません。

別な研究者は、今回の発見がアリの体内で何が起こっているのかを解明するヒントになるかもしれないと期待を寄せています。おそらくこの菌には、アリが奇妙な行動を起こさせる化合物が隠されているのではないかとしています。

今回の調査が将来ほかの菌性の病気や予防の研究に役立つかもしれません。ヒトと菌類は大きく違っているようでも、共通点もかなり多いので、色々な可能性が考えられるようです。

しかしこんな分野にも人工知能による画像分析が役に立つというのは非常に面白く、多方面に広がりそうな気もします。


風邪に効かない抗生物質

2017-11-23 10:41:54 | 
風邪の原因はウイルスなので、細菌を殺す抗生物質は効果がなく、むしろ不必要な抗菌剤の服用で薬の効かない「薬剤耐性菌」の増加が問題になっていると言います。

30年後には世界で1千万人が耐性菌によって亡くなるという試算も出ているようです。私はこのブログでも書いているように、風邪を引いたらゆっくり寝ると同時に抗生物質を使うべきという意見を持っています。

この記事は耐性菌を薬の成分を分解したりブロックすることができるように、遺伝子を変化させた細菌と定義しています。抗生物質などの抗菌剤を服用すると、病原菌や体内にいる多くの菌が退治されますが、その薬に耐えられる病原菌が生き残ったり、生き残れるよう変化したりするというのが、耐性菌が増える原因としています。

現在は街中に耐性菌が広がり、その耐性が高度化していると注意を呼び掛けています。これは薬を欲しがる患者に安易に抗生物質を処方する医者がいることも問題だとしています。

こういったキャンペーンはかなり前から繰り返し行われ、抗生物質を処方する医者も少なくなっているようですが、まだ続いているようです。

こういったことへの私の反論はあまりまとめていませんでした。

まず風邪についてですが、ウイルスで起きることは間違いありません。2,3日熱が出てこれが治まるとスッキリ治るかというと、必ずしもそういうケースだけではなく、のどの痛みや体のだるさ、咳などがなかなか取れず長引くことも多いと思われます。

これは常在菌といって体の中に住み着いてはいるが、何の症状も出なかった細菌が増殖するために起きる病気です。中には風邪をこじらせて肺炎になったりすることもあります。これは明らかな細菌感染症ですので、抗生物質の投与が必要となるわけです。つまり風邪というのはウイルスと細菌の複合感染と言えるわけです。

次に耐性菌の問題ですが、耐性菌はもともとの酵素が変異し抗生物質を分解するようになることは確かですが、この酵素は本来の目的からすると正常でなくなったわけです。ですから耐性菌は同じ菌種に比べて弱く通常はほとんど増殖しませんし、病原性もほとんどありません。

たぶん周りにも耐性菌感染症で亡くなった人はいないと思います。ただもともと重篤な病気を抱えているような人は、耐性菌感染症となる可能性がある、つまり院内感染と呼ばれるケースです。ですから耐性菌を問題とする人は重篤な患者の多い大病院の医師だけといってよいのかもしれません。

ヒトの体の中は細菌だらけですので、外から入ってこなくても増殖する機会をうかがっているといえます。ウイルス感染はその良いきっかけとなりますので、熱が下がり始めたら抗生物質というのが正しい治療法と思っています。

臓器はメッセージを発信

2017-11-22 10:33:43 | 自然
先日NHKの番組から脂肪と筋肉の話を書きましたが、このシリーズのテーマである臓器がメッセージを発信しているということが話題になっているようです。

この番組のMCであるiPS細胞の山中先生も、30年前は触れられたこともないと言っていましたので、最近分かってきたことの一つです。これまで医学会では、「脳」が司令塔となり各臓器に様々な命令を出して体内をコントロールするという定説で、一般もそれが常識として受け止められていました。

しかしこの番組では、各臓器は独自にそれぞれの指令を携えた物質(メッセージ物質)を放出し、血管や神経を通じてほかの臓器や細胞などと直接やりとりをする横のつながりがあると伝えたのです。

この番組では体内のそうしたシステムを、「臓器間ネットワーク」と定義して、中でも寿命を左右する要の内臓として腎臓を取り上げました。残念ながらこの回を見ていないのですが、そのうち再放送があることを期待しています。

体内に酸素が不足すると、腎臓はエリスロポエチンというメッセージ物質を放出します。これを骨髄が受け取ると、酸素を運ぶ赤血球が増産され酸素が体内に行きわたります。

また血圧が低い時は腎臓からレニンというメッセージ物質が放出され、アンジオテンシンIIという物質が生み出されます。これが血管を収取させて血圧を調整します。

余談ですがこのレニンやアンジオテンシンをターゲットにしたACE阻害剤というものが開発され、降圧剤として使用されています。このレニン阻害剤開発には面白い話がありますので、何かの機会に書くかもしれません。

さらに骨を丈夫にする活性型ビタミンDの放出も腎臓の重要な作用とされています。生命活動の源である心臓は心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)というメッセージ物質を放出します。

血液量が増えたり血圧が上がることで心臓に負担がかかると、心房細胞からANPが放出され、腎臓がこれを受け取ると尿量を増やして血液を減らし、心臓の負担を軽くします。またANPが血管に作用すると血管が拡張して血圧を下げる作用もあるようです。

ANPの重要な働きは血管の保護で、炎症で傷んだ血管を保護・修復し、血管内に炎症があるとガン細胞が付着しやすくなるため、ANPにはガンの転移や再発を防ぐ効果も期待されています。

その他これからも色々なメッセージ物質が出てくると思いますが、これらはいずれも薬開発のターゲットとなりうる物質で、私にとっては身近な化合物です。これがどこで生産され血液中に出てくるかまではわかりませんでした。

ツアーファイナル決着 今年のテニスは終わりました

2017-11-21 10:43:33 | テニス
今年最後のテニス公式戦ツアーファイナルが、ディミトロフの優勝で決着しました。

前回この大会は特別であり、年間成績の上位8人のみが出場し、贅沢な条件で進んでいることを書きました。錦織が出ていませんので、同世代のチリッチとやや若いゴファンを応援していました。

8人を二つのグループに分け、総当たりのリーグ戦を行い上位2名が準決勝進出となります。Aグループはナダルが筆頭で、ディミトロフ、ゴファンなどが入っています。Bグループはフェデラーが筆頭でジャックソックなどが入っていました。

Aグループは初戦ゴファンに敗れたナダルが棄権してしまいましたが、どうもこの大会前から調子が悪かったようです。代わりに好調だったのがディミトロフで、3戦全勝で準決勝進出を決めました。

もう一人は1勝1敗同士のゴファンとティエムの勝った方が出場となりましたが、若手筆頭のティエムはあまり良いところがなく、ストレートでゴファンが準決勝進出となりました。Bグル-プはフェデラーが圧倒的に強く、3戦全勝で進出しました。

もう一人はやはり1勝1敗同士のソックと若手のズベレフでしたがフルセットの接戦の末ソックが粘り勝ちとなりました。残念だったのは応援していたチリッチに元気がなく、全敗で敗退してしまいました。

準決勝はフェデラー・ゴファンの戦いとなりましたが、ゴファンはそれほど鋭いショットもないのですが、うまさのフェデラーに食い下がり、フルセットの戦いとなりました。さすがのフェデラーも疲れが出たのか、ファイナルセットはややミスが増え、ゴファンの勝利となりました。

もう一試合のディミトロフ・ソック戦はディミトロフが簡単に勝つだろうと思っていましたが、予想外の接戦となりファイナルセットをなんとかディミトロフが取り決勝進出しました。

決勝戦の二人は同じグループですので、すでに予選で戦っており、ディミトロフが6-0、6-2と圧勝しています。決勝戦ですのでゴファンのリベンジを期待したのですが、やはりゴファンは頑張りました。

ともにそれほどサーブが良いわけではありませんので、ストローク戦となりましたが一進一退の展開となりました。1セットは最後にディミトロフが底力を発揮し7-5で取りました。2セットはゴファンが踏ん張り6-4でとり、ファイナルセットへもつれ込みました。これはディミトロフが6-4で取りましたが、本当にどちらが勝つかわからない緊迫した良い試合でした。

ディミトロフは錦織世代の一人として期待されたのですが、昨年一昨年とあまり良い成績が出せず脱落かと思っていたのですが、今年は見事に復帰してきたのです。

今年のツアーファイナルは、独占していたビッグ4から次世代へと代わりましたが、これが世代交代の一歩となることを願っています。