ごっとさんのブログ

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   薬と猫と時々時事

「AIが仕事を奪う」は嘘なのか

2018-07-16 10:38:49 | 時事
ここ数年いろいろと「AIの進化で仕事がなくなる」と騒がれてきました。

その発端となったのが、2013年に出されたオックスフォード大学のレポートで、その中では9割の仕事が将来AIに代替されると報告されています。その2年後の2015年に今度は日本の野村総研が、同様の調査を日本で行い、今後15年程度で現状の労働人口にすると49%分の仕事がなくなるという発表がなされました。

これでAIによる雇用喪失というものが、既定の事実として受け止めるようになったのかもしれません。ところが現在、それからずいぶん時間が経っているのに、企業の求人は減るどころか大いに増え、人手不足はかつてないほどになっています。

AIはどうなっているのか、この理由としては、世界的な金融緩和に支えられた長期的な景況感の高まりや、日本・東アジアそして欧州先進国での少子化などがあげられるようです。ただこれは人手不足のトータルな説明としては正しいのですが、細かく労働市場を観察しても、機械による労働代替はほぼ起きていません。

私の感覚としても2030年やそのぐらいに本格的に機械が人の仕事奪うということはないと思っています。

これは少し前、「AIvs教科書が読めない子供たち」という本を読みました。なかなか面白かったのでその内容を紹介しようと思っていましたが、やや時間が経ち記憶があいまいになりつつありますので、そのうちざっと読み直してからになりそうです。

この著者は「東ロボ君」というAIが東大入試に合格するかという面白いプロジェクトを行った、女性の数学者です。この中で人工知能の進化という言葉を使うが、実際はAI技術の進歩にすぎないと述べています。

AIはいくら進歩しようとも単なる計算機であり、シンギュラリティ―(技術特異点、簡単に言えばAIが自分で進化し始める点)などありえないとしています。かなり説得力のある展開であり、私もそんな気分になっています。

さて労働問題に戻りますが、20世紀の初めは労働は農林水産業が圧倒的に多く、続いて製造・建設業が急速に増えており、知的労働者はほんの一握りにすぎませんでした。それが100年間のゆっくりかつ継続的な変化により、かつての人たちからは想像もできない社会となったわけです。

人間はその変化に順応し、キャリアや教育もしっかりアップデートされてきました。この先100年もそれとほぼ同じようなまたはやや大きい程度の変化対応が必要となるだけであろうと思っています。

確かに家の近くのスーパーは支払いを自分で機械に通すようになってきました。しかしレジをすべて自分で行うというのは中止になりレジ係の人がついています。こういった徐々に変化は出てきますが、AIが人間の仕事を奪うということはないような気がします。


コンサートに行ってきました

2018-07-15 10:14:36 | 音楽
先日私が大ファンである山下洋輔のスペシャルビッグバンドのコンサートがあり行ってきました。

山下洋輔はジャズピアニストですが、そのピアノをじっくり聞くのも楽しいのですが、彼が集めた一流のメンバーによるビッグバンドも面白い編曲と楽しいソロが入り聴きごたえのあるものです。

会場もサントリーホールとやや遠いのですが、私が好きな会場でした。何回か行ったことがあるのですが、間違える心配の少ない六本木一丁目にでましたが、ここで少し間違え少しうろうろしてしまいました。それでも開演が6時半の1時間ほど前に着きましたので、ホールの前の広場でビールと軽食を買いましたが、普通の2倍ぐらいの値段でまあショバ代なのかもしれません。

会場に入ると2階席でしたがほぼ正面で非常に見やすい場所でした。最初の曲は次々とソロを取りながら演奏者の紹介をしていくスタイルでなかなか面白いものでした。

第1部のメインはヂュークエリントンの「極東組曲」という曲で、聞いたことはありませんでしたがなかなか迫力のある演奏でした。特にアルトサックスとトロンボーンの掛け合いが面白く、高音と低音が交互に出る良い演奏でした。

1部のラストはこのところ得意にしているクラッシックのジャズのうち「ボレロ」でした。この曲はこのバンドのCDを持っておりよく聞いていたのですが、当然ですが編曲がかなり異なっていました。若干のボレロらしさもありましたが、新しい感じの曲となっていました。

ここで20分の休憩がありましたので、ちょっとワインでもと思ったのですが、ラウンジが人であふれかえっておりあきらめました。やはりこういったコンサートは我々と同年代風の人が多く、ちらほら若者がいる程度でした。

2部は面白い選曲で、メインが「組曲山下洋輔トリオ」となっていました。これは山下洋輔が作曲し、色々なトリオやソロとして演奏してきたピアノ曲をこのバンドのトロンボーンを吹いている松本浩がビッグバンド用に編曲したものです。

6曲からなっており私も聞いたことのある曲が大部分なのですが、ビッグバンドで演奏されると原曲がどんなであったかよく分かりませんでした。この中の「寿限無」という落語を題材にした曲は、サックスをフルートに持ち替えバラード風の良さが出ていました。

何回かあった山下洋輔のピアノソロでしたが、やっとこのあたりでそれらしさが出てきて、得意のひじ打ちなどもあり十分楽しめました。アンコールはジャズコンサートの定番ともいえる「A列車で行こう」でしたが、このビッグバンドの演奏は一味違っており満足できました。

往復にかなり時間がかかっても、すてきな音楽は聴きに行く価値があると感じた半日でした。


なぜ心臓にガンはできにくいのか

2018-07-14 10:28:10 | 健康・医療
タイトルの「なぜ心臓にガンはできにくいのか」という解説記事がありましたので紹介します。

胃、大腸、肺、膵臓、腎臓などあらゆる臓器にガンはできますが、心臓ガンというのを聞いたことがありません。これについては私なりの解釈をしていたのですが、若干違いはあるもののたぶんこんな理由だろうという程度の内容でした。

ガンというのは、体の「表面」の細胞が悪性化してできるものです。この場合の表面というのは、外側の皮膚だけではなく胃腸や肺なども管によって外界とつながっているため体の表面といえます。この表面にある臓器は他の刺激を受けやすく、擦れて表面が剥がれたり傷ついたりしやすくなっています。

そのため新たな細胞を作って補っていく必要があり、この過程では既存の細胞をコピーして増やしていくことになります。その際時々「コピーミス」が起こり、正常ではない細胞ができてしまうことがあり、こういったうまく複製できなかった細胞の中にあるのが「ガン細胞」です。

この記載はおかしな部分も多いのですが、基本的にすべての臓器は傷つくかどうかではなく、決められた頻度で新陳代謝をして新しくなっています。特に「表面」という説明は意味がないと思います。

さて心臓にガンができにくい理由ですが、まず第一に心臓は身体の表面には無いことが考えられるとしています。これではやはり表面にない腎臓や膵臓、肝臓もガンになりにくいことになりますが、決してそんなことはありません。

二番目は、心臓の細胞のうち「心筋」と呼ばれる筋肉はあまり増殖しないことが上げられます。増えないものはコピー回数も少なく済むため、コピーミスの可能性も少なく、結果として悪性化しにくくなるとしています。それでも少数ながら心筋細胞をコピーして造る機能はあるため、悪性化する可能性はゼロではないようです。

私はこの心筋細胞が増殖しないのがガンにならない最大の要因だと思っています。心筋は、赤ちゃんの時で来たものがほとんど新陳代謝されずに死ぬまで変わらないという面白い性質を持っています。このように私は心臓がガンにならないのは、この増殖しないためと考えていますが、まだ続いています。

次が心臓は身体の奥に位置しており、保温性の良い環境にあるため温度が高い臓器です。悪性の細胞は高温に弱いため、心臓には悪性細胞が生まれにくく、また悪性の細胞が血流にのって他臓器から送られてきても、心臓に定着つまり転移することが少ないと考えられるとしています。

また心臓はANP(心房性ナトリウム利尿ホルモン)などのホルモンを作っており、これが悪性細胞を抑える作用を持つため、悪性の細胞ができにくく、また転移もしにくいと考えられています。

この文章はどういった専門家が書いているのかわかりませんが、一般の理解はこの程度なのかもしれません。


定期健康診断は本当に必要か

2018-07-13 10:35:28 | その他
企業に勤務していると1年に1回必ず定期健康診断を受けるように義務付けられています。

私も長年研究所に勤務していましたし、私の専門では日常的にかなりの溶剤を使用していましたので、特殊健康診断というものもあり年2回受けていたような気がします。

私の場合は検査機関が研究所に来て、1時間ぐらいでいろいろ検査をしてくれるし、多分無料で受けられる(企業負担となっているようです)ので、若干面倒程度で特に問題とは思っていませんでした。

この企業内での健康診断は、労働安全衛生法という法律に基づき行われているもので、その目的は「今の作業や労働に耐えられるか、それを続けさせても、脳卒中や心臓発作を起こしたりしないかを確認し、それらを防止するために行う」とされています。

つまりこれは福利厚生の一環ではなく、本質的には会社のために行われているものといえます。ですから会社にとっては受診させることが目的のようなもので、その結果をどう活用するかは受診者本人に任されているわけです。

私は白血球数が常に正常値より高く、入社したては毎年再検査を受けていましたが、何年かでその高い値が私の正常値であろうということになり、その後は再検査は止めましたが何ら問題はありませんでした。

毎日酒を飲んでいるためか、肝臓のγGTPがかなり高く、酒を控えるように言われている同僚がいました。これが定期検診が近づくとその前1週間ほど禁酒をして準備していましたが、何の効果もなくγGTPは高いままのようでした。

本来このようなことは意味がなく、通常の生活をしていて受診する方が当然良いわけで、私は前日遅くまで麻雀をしたことがありますが、別に異常値は出ませんでした。

後輩で病気の巣窟のようなものがおり、生活習慣病的なものはすべて当てはまり、多量の薬を飲んでいました。彼にこの健康診断結果を聞いたところ、ほとんどの項目が異常値で要再検査や治療という判定になるので、全く見ていないということでした。それでももう20年以上たちますが彼は元気にしているようです。

この健康診断を受けて何か病気が見つかり治療したという話を聞いたことがありません。基本的に元気で勤務している人たちが受けるので、病気が見つかるということはないのかもしれませんが、本当に必要なものかどうかそろそろ再検討すべき時期になっているような気もします。

この法律が施行されたころ(50年近い昔)と比べて、健康志向も高まり、検査技術なども進んでいますので、必要性が低下しているのは確かだと思われます。それでも念のため的な感じで、会社を辞めた今も市が補助している健康診断を受けてはいます。

免疫型にこだわらないiPS細胞

2018-07-12 10:38:40 | 健康・医療
iPS細胞による再生医療をめぐり、免疫の型の一致にこだわらない治療法を計画する企業や研究機関が出てきました。

細胞を提供する京都大学iPS細胞研究所は、拒絶反応を減らすため、多くの人と免疫の型が合う細胞を備蓄する「ストック事業」を進めています。

iPS細胞は患者自身の血液などの細胞からつくれるため、拒絶反応の心配がないことが当初大きな利点とされてきました。理化学研究所などが2014年、世界で初めて目の難病「加齢黄班変性」の患者に、iPS細胞から作った網膜組織を移植した手術は、患者本人から作ったiPS細胞を使っています。

しかしこのように患者一人ひとりに合わせるやり方は、培養や品質管理に莫大な費用(数千万円とされています)と長い期間が必要でした。この再生医療が画期的なものであっても、この様な費用と時間がかかってしまっては通常の治療に使うことは難しくなってきます。

多くの人に安価にiPS細胞を提供するための取り組みがストック事業というわけです。多くの人と免疫の型(HLA型)が合って、拒絶反応が起きにくい型を持つ人から血液の提供を受けてiPS細胞を作り備蓄しておき、希望の研究機関や企業に配っています。これにより患者から作るより費用や時間を抑えられることになります。

iPS研究所のストック事業は、国が毎年数十億円を投じています。山中所長は昨年12月の文部科学省の作業部会で、3年後に日本人の5割をカバーする方針を伝え了承されています。実際病気や体の部位によって、HLA型を一致させない臨床研究や製品開発の計画がいくつも進んでいます。

6月5日付けで厚生労働省が正式に了承した、大阪大学のグループによる重症心不全の臨床研究は型を合わせていません。一致させても心臓だと拒絶反応が起こるため免疫抑制剤で抑える予定のようです。

現在開発中の12製品のうち免疫型を合わせる予定は4種で、他は一致させないか未定とのことでした。脊髄損傷など中枢神経系の病気を軸に開発を進める企業では、「中枢神経系は拒絶反応が起きにくい免疫寛容といわれています。会社の事業としてはHLA型にこだわらない方法で試験を進めていきたい。」と述べています。

iPS研究所などが昨年暮れに再生医療を目指す29機関に行ったアンケートでも、型を一致させないが半数を占めています。型を合わせない再生医療が主流になれば、多大なコストをかけて多くのHLA型をそろえるストック事業の意義が揺らぐことになります。

この再生医療が一般的な治療法となるには、如何に時間とコストを下げるかが問題ですので、型をそろえるべきかの議論より安価な方法論の確率が望まれます。