ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「不老不死」といわれるベニクラゲのゲノムを解析

2022-10-06 10:28:05 | 自然
もう25年も前のことですが、当時私は国出資の海洋関係の研究所に出向していました。

私の研究室ではないのですが、そこではサカサクラゲという上下逆になったようなクラゲを研究していました。このクラゲの生態は面白く、幼生のポリプという段階などからクラゲの形に変わる過程などをよく観察していました。

このクラゲにまつわる面白い思い出があるのですが、ここでは省略します。さて2022年8月にスペインのオビエド大学の研究チームは、不老不死の生物として知られるベニクラゲのゲノムを解読することに成功したと発表しました。

ベニクラゲは温帯・熱帯地帯に生息する体調わずか数ミリの小さなクラゲです。多くのクラゲを含む一般的な生物は、成長とともに組織が老化し細胞は死に至ります。しかしベニクラゲはこのプロセスとは別な道を選択していきます。

ベニクラゲの一生はプラヌラという初期幼生から始まり、この幼生は漂いながら海底でポリプというイソギンチャクのような形に姿を変え定着します。ポリプは海中のプランクトンを捕食しながら成長し、クローンを作ることで増殖しながらポリプコロニーを形成します。

このポリプコロニーからベニクラゲの子が生まれ、最終的にはメヂューサと呼ばれる姿へと変化していきます。

ここまでは一般的なクラゲと同じですが、ベニクラゲが老化したり損傷したりすると、シストという丸みを帯びた状態になり、海底でイソギンチャクのような形のポリプに姿を変え定着します。

つまりクローンを作って増殖するため、元のベニクラゲと全く同じ存在が生き続け、決して死ぬことはないというプロセスを持っています。研究チームはベニクラゲの中でも不老不死でないルブラという種と、不老不死のドルニーという2種類のゲノムを比較しました。

その結果ドルニーの遺伝子には、DNAの複製と修復、テロメアの維持、幹細胞集団の更新、細胞間コミュニケーションおよび酸化的細胞環境の減少に関連するものが2倍あるほか、テロメアが短くなることを防ぐ機能も備わっていることを見出しました。

研究チームによると、一部の生物が時間をさかのぼることができる魅力的な能力を理解することで、ヒトの老化に関連する多くの病気に対してのヒントが得られるとしています。

このクラゲのいわば再生に必要な遺伝子が2倍あることが、どういう生理的要因になるのかよく分かりませんが、クラゲは本当に興味ある生物といえそうです。

ただ私はこのベニクラゲのポリプへの回帰という生態が本当に不老不死といえるのかは、やや疑問に思っています。

多剤服用の高齢者問題は解決できるのか

2022-10-05 11:03:58 | 
私の友人も元気なのですが色々不調があるようで、多くの薬を服用しているようです。

厚生労働省の社会医療診療行為別統計によると、75歳以上の4人に1人が6種類以上の薬を飲んでいます。たとえ医師から処方されたものでも、6種類以上の薬を飲むと副作用が起こりやすくなることが分かっています。

私の基本的な考え方としては、高齢になれば身体の部品が傷んでくるのは当然のことで、これは薬を飲んでも回復することはありません。特に自覚症状のない生活習慣病などは、薬で治療する必要はないと思っています。

よく薬の副作用といいますが、その薬の主作用である、血圧を下げたりコレステロールを下げたりする作用で、身体が不調になることは多いと思っています。

かみさんの年上の友人が色々不調が出ており、聞いたところやはり多剤服用していました。そこで降圧剤をやめてみたらと伝えたのですが、親戚が脳卒中で死んでいるので怖くてやめられないとのことでした。このように服薬を減らすというのは、なかなか難しい問題です。

身体の不調を感じるほどではなく、加齢により肝臓や腎臓の機能は低下していきます。口から取り込んだ薬が分解されて体外に排出されるまで、高齢者は時間がかかるのでその分薬の成分が体内に長くとどまり、薬が効きすぎてしまうことがあります。

私は市販の風邪薬など飲む場合、成人3錠という指定があっても2錠飲んでいますが、それでも十分効果は出ています。

薬が効きすぎていることに気づかずに長年同じ量を飲んでいたせいで、ふらついて転んで骨折したり寝たきりになってついには認知症を発症などという事態もありうることです。

逆に長年寝たきりだった人が入院して飲んでいた薬を中断したら、血圧も下がって元気になり退院時には歩いて帰れたというようなことも聞かれます。

専門家によると多剤服用で注意すべき薬は、1.不眠症の薬、2.うつ病の薬、3.高血圧の薬、4.血液サラサラの薬、5.糖尿病の薬、6.過活動膀胱の薬、の6種類を上げています。普段飲んでいる薬の中に上記6種類の薬が入っていれば、それが減らす薬の第1候補になるとしています。

ただし個人の判断で減らすのは当然ですがあまり良くなく、専門家の意見が必要なことは確かです。多剤服用となる原因は、複数の医療機関に罹ってそれぞれ処方されているような場合は、最も信頼できそうな医師にすべての薬を見せて相談するのが良いのかもしれません。

本来「お薬手帳」によって薬剤師はその人が服用している薬をすべて把握できるはずですが、薬剤師は医師が処方した薬を減らすという行為ができないというのが現在の医療現場の問題かもしれません。

本来薬剤師はそういった点も含め管理しているはずですが、現実的には何ら薬剤師に期待ができないというのは残念であり、結局患者個人が対処することになっているのが現状です。

極端な異常気象は地球温暖化が原因

2022-10-04 10:30:38 | 自然
このブログでは気象関連はほとんど取り上げていませんが、私は気象というものは人知を超えたものであり、なるようにしかならないものと考えています。

従って地球温暖化と炭酸ガスの上昇は確かなものですが、人間が出す炭酸ガスによって温度が上昇しているという意見には賛成できません。太陽活動かどうかわかりませんが、地球が温暖化することによって海に溶けている炭酸ガスが大気中に出ていると考えています。

地球は完全な閉鎖社会で、あらゆる物質が入って来ることも無く出ていきませんので、地球上(大気も含めた)の総炭素量は常に一定であるという事実に基づいています。

さて今年の日本列島は6月から記録的な高温が続いたり、7月には西日本を中心に記録的な大雨となり、8月にはこれが東北北部に移りました。これは当然日本だけではなく、米国やカナダは昨年に続いて今夏も危険な暑さが続きました。

欧州でもイギリスやポルトガルなど多くの国で異常な高温が続きました。パキスタンでは国土の3分の1が水没する大洪水に襲われ、中国は歴史的な干ばつ被害を出しています。

地球温暖化は地表面の温度が上昇することですが、こうした現象は地球全体のさまざまな気象パターンを変えるため、気候変動という言葉も多用されています。

こういった気候変動を日本では異常気象、海外では主に「極端な気候現象」と呼ばれ、人間生活や生態系に甚大な被害をもたらす気象が世界的に頻発しています。その原因については国内外の多くの専門家は「偏西風の大きな蛇行」を挙げています。

国連・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や世界気象機関(WMO)などの国際機関、日本の気象庁のほか多くの専門家は、温暖化が世界的に頻発している極端気象に大きく影響していると指摘しています。

具体例は省略しますが日本の高温の要因について気象庁は、日本の南海上の太平洋高気圧の東日本以西への張り出しが強かったため、暖かい空気に覆われやすくなったと説明しています。

このように太平洋高気圧が強かったのは、インドネシア付近で積雲対流活動が活発だったことや、昨年秋から続いていたラニーニャ現象により、北半球全体で偏西風が北に移動し太平洋高気圧が北に張り出し安くなったことを挙げています。

ここで毎年の気象現象と温暖化の関係について慎重な表現を使っていた気象庁が、今夏の気温について「温室効果ガスの増加に伴う温暖化により、大気全体の気温も上昇していることも要因のひとつ」と明示しています。

このように異常気象と温暖化は関係がありそうですが、人間が炭酸ガスの排出を減らせば温暖化が抑えられるというのは人の「驕り」のような気がしています。

サプリメントの効果は科学的に証明されているか

2022-10-03 10:30:06 | 健康・医療
毎週夜のテニススクールに言っていますが、このところ膝に痛みが出るようになってしまいました。

もう75歳ですのでやむを得ないのかもしれませんが、サポーターを付けることで対応しています。一方身体の痛みを消す効果を大々的にうたうサプリメントが巷にはあふれかえっており、通販健康食品市場の規模は2021年まで7年連続で拡大しています。

テレビのCMなどでも派手に宣伝していますが、本当に効果があるのでしょうか。糖にアミノ酸が結合したアミノ糖の一種であるグルコサミンは、すり減った膝の軟骨を再生して関節痛を軽減するとされています。

ところが専門家によると科学的な根拠はなく、有効性を否定する論文が次々に発表されているとしています。例えば2017年に「変形性膝関節症及び股関節症に対する経口グルコサミンの有効性のサブグループ分析」と題された論文んがあります。

ここでは長期間(2年)と短期間(3〜6か月)のいずれにおいても、グルコサミンと関節痛との関連は認められなかったと結論付けています。どうも飲用したグルコサミンが傷んだ軟骨の再生に役立つという、科学的根拠はなく、膝を守る効果は期待できないようです。

グルコサミン同様コンドロイチンも軟骨の構成成分のひとつで、軟骨に弾力性と保水性を与えるとして、医薬品成分と認められています。

コンドロイチンの効果を得るには、一日あたり約800mgの摂取が必要とされていますが、サプリの場合この接種目安に満たないことが少なくないようです。私はこのコンドロイチンなどの摂取には大きな疑問を持っています。

この関節などに有効とされるコンドロイチンやヒアルロン酸は多糖類という、糖がたくさん結合した構造を持っている大きな分子です。これが腸からそのままの形で吸収されるとは思えないのです。

確かに腸はタンパク質などをそのまま吸収することがまれにはありますが、通常は低分子(糖やアミノ酸)に分解して吸収します。こういった経口摂取してもそのまま吸収されない代表例がコラーゲンです。

これは錠剤以外にもドリンク剤が多く販売されており「飲むサプリ」としても有名です。しかし経口摂取したコラーゲンは消化段階でアミノ酸に分解され、そのまま吸収されることはないことが証明されています。

その他腰痛や肩こりなどの炎症系の痛みに効果があるといわれているのがセサミンです。ゴマにはゴマリグナンという抗酸化作用のある成分が含まれていますが、その構成成分の大部分がセサミンとなっています。

それでもセサミンを摂取して身体の痛みが治まったというデータは報告されていないようです。このように多くのサプリメントに科学的根拠ないとしてきましたが、開発されている以上何らかの効果はあるのかもしれません。

特にサプリを飲んでいるという「プラセボ効果」は期待できるでしょう。

20歳未満の新型コロナ死亡者の半数は基礎疾患無し

2022-10-02 11:15:14 | 時事
先日色々な統計を見ていると、国内の1日の死者数が3,900人以上になるという結果が出ていました。まあ年間で約130万人が亡くなっていますので、当然なのですがずいぶん多い感じがしました。

国立感染症研究所は、新型コロナに感染して亡くなった20歳未満の男女の約半数は、基礎疾患を持っていなかったとの分析結果を発表しました。

これまで基礎疾患があると子供の重症化リスクが高いとみられていましたが、オミクロン株が広がった後は基礎疾患が無くても新型コロナに感染すると、死に至る恐れがあることを初めて示したデータです。

感染研と感染症疫学センターは日本小児科学会などの関係学会と協力して、2022年1〜8月にコロナ感染後に死亡したとの報告があった20歳未満の41人を対象に調べました。41人のうち詳しく調査できたのは32人で、このうちコロナ感染が関係したと判断された29人について分析しました。

死亡したのは年齢別に0歳が8人(28%)、1〜4歳が6人(21%)、5〜11歳が12人(41%)、12〜19歳が3人(10%)で20歳以下といっても乳幼児がほとんどです。

年齢を問わず重症化と関係するとされる基礎疾患の有無を調べたところ、あった人は14人(48%)、なかった人は15人(52%)で、約半分は基礎疾患を持っていませんでした。調査対象の基礎疾患の内訳は。中枢神経系7人、先天性心疾患2人、染色体異常2人などで重複もあります。

調査人数は少ないのですが、子供でも基礎疾患を持っていると、コロナに感染しやすいような気もします。ワクチン接種については29人のうち接種対象年齢となる5歳以上が15人で、このうち未接種が13人、2回接種が2人で、接種しても命を落とす例があることが明らかになりました。

発症から亡くなるまでの日数は、発症日が分かった26人のうち0-2日が8人、3-6日が11人、7日以上が7人で中央値は4日となりました。73%が1週間未満という短い期間に亡くなっていることも判明し、感染研は発症後1週間は特に症状の経過観察が重要だとしています。

成人や高齢者の詳細なデータはないのですが、こういった幼児の亡くなるまでの期間は異様に短く、成人とは違った感染の作用があるような気がします。

このほか医療機関に来た時の症状は発熱が23人で79%をしめ、吐き気や嘔吐が15人52%、意識障害13人45%となっていました。感染研によると基礎疾患の無い場合でも意識障害や嘔吐、けいれんなどの症状がある場合は特に注意が必要としています。

今回の分析結果は調査人数も少なく、一般化して解析することはできませんが、子供はコロナ感染した場合は基礎疾患などなくても注意が必要ということは言えそうです。