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香港の違法住宅

2010年05月26日 | 海外事情
 香港にはビルの屋上に出来たペントハウス=天台屋(テントイオック)という部屋がある。あのせせこましい香港の住宅事情から考えるとテレス付きで、ほおtんどが屋上一軒家なので、周囲への気配りも必要ない(まあ、どこで気配りは要らぬ心配ではある)。何より窓が最低でも二面にあるので、風通しがいいのだ。
 因に香港都市部に蚊はいない。空気が悪いからでしょう。
 そんな理由からある時、天台屋物件を集中的に探すことにした…のだが、まず、地域が限定される。その理由は、基本的にビルの屋上に家を建てるのは禁止されているため、新規での物件はまずない。法の目をかいくぐるかのように、昔に建てられた古い物件。となると、古いビル→古い町となる。
 香港島なら上環以西か、北角辺り。
 次に、不動産屋の入り口に物件概要が張り出される事もないので、直接、希望を伝えて、たまたまその物件を取り扱っている不動産屋を探し出す。もしくはリクエストをしておいて、物件が入ったら連絡してもらう。
 さて、そんな天台屋探し、2軒見つかった。
 最初の物件は、北角市場の手前、目の前は市場までの1本道の下町。古びたビルを上がった屋上は、エアコンの室外機から流れた水で足場が湿り、何やら、機械類の間の隙間を入った薄暗い所に、超レアな、もはや30年前に見捨てられたような、色も変色した木製の作り付け2段ベッド、いやむしろ押し入れの段のある窓から陽も差さないような物件。
 こ、これは完全に大陸からの不法入国労働者の住まいだー。
 2軒目は、天后の高士威道南側の物件。4階建ての古い唐楼(エレベーター無しは唐楼、有りは西楼)。三件長屋になった天台屋。
 一件ごとに柵が有り、小庭(コンクリートだよ)に面した入り口を入るとすぐにキッチン。大型冷蔵庫が、「きったねー」。キッチン全て油でベトベトだが清掃済み。これが香港人の衛生観念。
 なので、汚されるのを嫌う大家が予めキッチン無しの物件を提供する事もある。香港では女性が料理出来なくても、しなくてもハンディにならない社会背景があるのだ。
 そして、3畳くらいのせっまーい、薄暗いリビングというか、1部屋。その奧が、6畳はあろうかというバカでかいバスルーム。そして、香港には珍しくバスタブ付き。しかも欧米タイプのかなりの大きさ。窓もある。
 生活の場が、風呂主体ならいいけどね。何より、長屋形式で隣に見知らぬおっさんの、猿股が干してあるのが嫌だった。
 また別の不動産屋から連絡が有り、今度は上環。前の2軒よりは新しめだが唐楼の11階のマンション。これはもう部屋ではなく掘建て小屋だ。
 聞くところによると、そもそも天台屋は違法建築なので、政府に認められておらず、基本的には、不法滞在者として罰せられるらしいのだが、そこはそれ、香港だから、あまり、いやほとんど、いやかなりの高確率で、追求はない。
 その違法建築を建てたのは、不動産屋でもなければ、大家でもなく、家を持たない低所得者もしくは、いわゆるホームレスの方々が、勝手に忍び込んで、勝手に建てて、勝手に住み着いたのが原点という話し。
 諦めました。夢の天台屋。

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