二胡工房 光舜堂

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楽器としての二胡、その8

2012-03-15 09:38:03 | ■工房便り 総合 
木にも骨が有ります。

骨に当たるところが有ると言ってよいと思います。

木の芯です。

成長するに従って、木の真ん中の部分が硬化していきます。

周辺部と比べて、硬いのです。

当然年を取ると、その骨は傷んできます。

良く神社や、古いお城の中の古木に、木の芯の所に洞のあいた物が見える事が有ります。

年を取って木の芯の部分が、もろくなってしまい、その部分だけ崩れてしまったものです。

木の骨粗鬆症ですかね。

そのように、一本の木の中にも性質の違う物が沢山組み合わさっています。

その性質の違う部分を切り取って、二胡の一つの胴に組み立てたとしたらどうなるでしょう。

それは、経年変化で胴を構成している、6枚の木が(8も有りますバラバラに)縮んできたりするのです。

そこでいろいろな変化が起こります。

一番、音に影響するのは、皮が緩くなる事でしょう。

皮は最初かなりピンと張ってありますから、木が縮むと皮は緩くなります。

その時に均一に縮んでくれるなら問題はそれほど大きくは無いのです。

木は一枚一枚縮み方が違いますから、皮の方の緩み方も、変わります。

場所によっては大きく縮み、その他の所では殆ど縮まなかったりもすると、

折角、最初に均一に張ってあった皮が歪んでしまうと言う事が起こります。

当然雑音が発生しやすくなります。

そんなに微妙なものかと言うと、それほど微妙なのですと言うしか仕方ありません。

二胡の皮を仕上げに張る時には、その最後は、ボルトの一ひねり、一回転も有りません、

たぶん長さにして、0,2ミリぐらいで、音がピンとした鳴りになるのです。

楽器の精度というのは、普通の生活している時の、精度の感覚とは大変に違います。

100分の1ミリの狂いというのは許せない範囲なのです。

100分の1ミリ木と木の間が空いていたとしても、それは完全な隙間なのです。

というような、マニアックな話しは、おいておいて、

バイオリンもギターも完全に、分解できます。

元の材料で全て組み立て直しが効きます。

二胡は完全には出来ません。

特に胴の部分は、皮が張ってあると言うこともあって、分解すると、元の材料が使えないのです。

そう言う点で、修理しにくい楽器ではあります。

良く有るのは、胴の6枚の板に亀裂が入ったり、接いであるところがはがれたりもします。

特に黒檀に多いのです。

ただ、このように亀裂が入ったりしてその後、それを直した黒檀の楽器は鳴りが以前よりも大変良くなります。(皮を張り替えたとして)

これは、木の内部に偏って溜まっていた力が、解放されて、木の振動が無理なく響くようになるからだと思います。

木は、育つ間に均一に育つわけではありません。

日の良く当たる方は、育ちも良いですが、その分,枝なども多く、その枝を支える為にその周囲の幹は硬く強くなります。

風や暴風等で、隣りの木が倒れたりすれば、今まで日の当たっていなかった部分に急に日が当たり、成長の仕方が変わります。

今まで、日陰でそれほど成長が早くなかった物が、急に成長が進んでしまうとしたら、細胞が変化します。

雨の多い年や、降らない年も有ります。それらに対応するようにその都度細胞も変化します。

人間でも、成長期にあまりにも急激に身長が伸びたりすると、膝を痛めたりもしますね。

それと同じ事なのです。

そのような時、木はその部分を強化しようと硬くなります。

当然、たった1ミリ、2mmという年輪の違いで、硬いところと柔らかいところが組み合わさって木が育つのです。

だからこそ、その木その木、一本一本、性質も変わりますし音も変わります。

二胡も一台一台、音が違うのです。








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2 Comments

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生き物としての木のこと (hiko)
2012-03-15 13:27:25
二胡という楽器に使われている木のお話、まだまだ尽きないようですね。木は生き物であるということ、そして伐られて楽器に用いられてからも、経年変化をしながらもなお生きていることがよくわかりました。ブログ上で読むだけではもったいないので、まとめて書類としてプリントして再読しています。長らく出版の仕事をしていましたので、漢字かなづかいや句読点の整理などを施しながらというクセがつい出てしまうのですが、楽しんでやっています。
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hikoさん (nishino)
2012-03-16 08:55:26
やはり、新聞系の方かなとは思っていましたが。
誤字脱字、かな使い、句読点等すみません。

私は元が数学系なので、未だに数時には強いのですが、、、、
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