二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

楽器としての二胡、その9

2012-03-16 09:04:47 | ■工房便り 総合 
どんな楽器でも演奏者は、その楽器としての最大の鳴りを求めます。

良く響き、大きく音も鳴り、

小さく弾いてもその音が遠くへ通り、

低音は十分に振動し、高音は煌びやかに振動する。

それを求めます。

これはどんな演奏者でもです。

初心者は初心者なりに、プロはプロなりに。

ところが、美味しい物を食べた事のない人に、美味しい物が判らないのと同じで、

良く鳴る楽器というのを弾いた事のない人には、良く鳴る楽器というのが想像つかないのではないでしょうか。

一度で良いですから、先生の楽器を、弾かせてみてもらって下さい。

或いは、楽器屋さんに行って、最高級の楽器というのを弾かせてみてもらって下さい。

また或いは、教室の先輩の引きこんだ楽器というのを触らせて見てもらって下さい。

思わぬ、鳴りにビックリする事でしょう。

弾いた瞬間に、解ります。

違うのです。

身体に音がしみこんできます。

日本の中では、まだそれほど良い楽器というのは販売されていないと思います。

中国の名人と言われる、プロ専門の二胡作りの人達の良い楽器というのは、先生たちの、それもほんの一部の人達が持っているだけのようです。

勿論、あちこちの楽器屋さんが、誰々の作という楽器を販売してはいますが、かなり疑問の有る物も多いと、聞きます。

良い二胡とは、弾きやすくボリュームのある音がすると言う事、雑音も無く、遠鳴りがすると言う事というのは、皆さん常識ですね。


でも、もう一つ条件が有るのです。

もう一つの条件というのは、一音一音が高い音も低い音もシッカリとした音になる事です。

そうでないと演奏者がこう弾くこのような感じという気持ちに音がついて来れないのです。

それには、

胴には柔らかめの部分を使い、棹や木軸には木の芯に近い硬いところを使い、

ゆっくり、30年以上板の状態で自然に乾かすか、或いは人工的にでも油分の抜けないように乾かした木材を使い、

皮も、5歳~7歳ぐらいの蛇の、脱皮から3,4カ月経ったものの尻尾に近い部分で、1,6みりぐらいある厚みの皮を、

3ヶ月くらいかけて、ゆっくり、8回ぐら、濡らしては引っ張りそれを乾かすことをを繰り返した物を使って、

胴を接ぎ合わせる接着剤も、硬めのボンドを使い、

胴の木が同じ音になるように削り込み、胴の中が残響を適度に残す削り込みがあり、

オイルで仕上げをし、

最後にパフリングを適正にされた、二胡が有るとしたら、それは最高級品の可能性が有ります。

あくまでも可能性です。

それをホントの意味で、最高級品に仕立てるのは、

シッカリと弾きこむ演奏者の感性なのです。

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2 Comments

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勉強になります。 (enari)
2012-03-16 14:15:17
こんにちは。
先日は、コメントにお返事いただきありがとうございました。
とてもうれしかったです。

二胡の材質について、こうして制作されている方からのお話を聞けるのは、とても新鮮で興味深いです。
木材にしても、蛇革にしても、その場所や処理の仕方で大きく変わるのですね。
私の二胡も、数多くの作業工程を踏ん二胡として手元に届いていると思うと、増々大切に扱いたいと思います。

自分で弾きこんで最高の二胡を成長させていけるというお話は、二胡に対しても、二胡を弾いてる人に対しても愛情を感じ、ほっこりうれしくなります。
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enariさん (nishino)
2012-03-16 15:49:51
元の木が何であれ、皮が何であれ、シッカリと弾きこむのが、良い音を作る最低条件ですよ。
これはどんな楽器でも同じではないですか。
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