運び屋ほぉ の運送日記 其之弐

ほぉ舜堂運輸、本日の大殿様からのご依頼品　―　二胡の胴（なるべく沢山）


二胡を愛する皆様こんにちは、運び屋ほぉです。
昨日は配達に行きましたら、既にベッドの上にはスケッチが散らかし放題。
大殿様は早くも仕事モードです。
手がけている本業、住宅リフォームのお宅の追加家具のデザイン画に混ざり、
おや？これは、、、

「新店舗だよ、どう？」　

「まぁ、エレガント！！」 と言ったら、満足気に にっこり。

新店舗 （ 当初予定の「５月頃引越」は延びて、６、７月頃になるかも知れません ） は、
二胡屋が休みの平日はお嬢様達のお仕事にも使う予定なので、
やはり、美しい人達には美しいエレガントな場所が似合います♪
とにかく、“Ｔｈｅ昭和”のアノ場所を、いかに素敵に仕上げるかに懸っているのです。
こう言うと「誰にものを言ってるんだ？」 と、デコピンが飛んできます。
でも、お嬢様達は心底お父上の才能を信じていらっしゃるので、
「父がやるから大丈夫！」 と、アノ場所を見ても尚、即答。　うーん、すごいっ！！　
この、お父上の才能に対する姫様お２人の信頼度は本当に凄いです。


さて、そんなスケッチをファイルに戻し片付け、
「持って来ましたよ」と、依頼品一式が入ったビニールバッグを差し出しますと、
お土産をもらったコドモのように嬉しそうな顔。
そこで、ベッド付属のテーブルに、ハサミ、ナイフ、金糸、銀糸、太い金糸、太い銀糸、アロンアルファ、と並べ、
最後に二胡の胴を一つ手渡すと、いきなり、

ポンっ！！

「わゎっ！！静かに！！」

ここで皮叩くか？　いや、叩く叩く。。。皮張ったらいつも叩くんだった。。。
必ずすぐ叩いちゃうんだった。。。
と、こればっかりは止められなかった、すっかり忘れていた殿のいつもの動作に、ワタクシ気が動転。
そんなワタクシを気にも留めず、殿は袋からはもう何も出てこないと分かると急に顔を曇らせました。

「これだけ。。。？」 と、もの凄く悲しそうな顔。
「え？！　胴一つじゃ足りないんですか？」
「うん、足りない。ここにズラーッと並べたいんだ」

（そ、それは、作業の問題ではなく、眼の保養の為では？？？）
そう思いながら、「それから、これはお布団保護のシートで、、、」
と、シートを広げようとした瞬間、

ふっ！！

「わぁっ！！吹かないで！！」

ここで胴の中吹くか?　いや、吹く、吹く。。。いつも胴の中覗く時、まず吹くんだった。。。
嗚呼。。。胴のまわりはしっかり拭き取って、決して粉が出ないようにきれいにしてきたのに、
中にまだ残るわずかな粉には処理が甘かった。。。
吹くコト忘れてた。。。

なんだか、動物の生態みたい。。。
と思いつつ、いや、しかし、コドモを戒めねば。

「西野さんっ、今、赤い粉、瞬間に散りましたよ？！　ぶわっって、散りましたよ？！」
「あはは♪」
「あはは、じゃなく、嗚呼。。。」
「だいじょぶ、だいじょぶ、ほら！」
「わぁっ！お布団こすらないで！！」

カーテンで仕切られた狭い空間の中で良かった？
小声で叱りながら、ワタクシは（飛散した粉は微量だったけれど）医療器具が心配でドキドキ。
「この病室でヘンなビョーキが出たら私のせいだね♪」
とか、楽しそうに言うことじゃありませんから！！
もう一番きれいな胴を選んで運んできたのに、これじゃアカン。。。

「足るを知って、これだけで我慢して下さい」
しかし殿は急に怖い顔。
「いや、だめだ。いくつもデザイン考えてるんだから沢山必要なんだ！」（キリっ）

うー。。。この顔されると逆らってはいけないサイン。。。
でも、エアー（粉を飛ばす機械）で飛ばせるだけ飛ばして、
ダメそうなら、今日は依頼品の配達は拒否しよう。。。

殿が病院を追い出される日は遠くないかもしれません。



追記：　先程メールが入り「もう胴は要らない」とのこと。ホっ。。。
　　　　では、本日の追加依頼品、シャーペンの芯０．３（ＨＢ）を配達に行ってまいります！