振動板に皮を張った擦弦楽器の駒はこのようにかなり横に長いのが普通です。
これは胡弓の駒ですね。
擦弦楽器では無いですが、三味線の駒も横に長いのです。
猫やら犬やらの比較的柔らかい皮を使っていますので皮全体を振動させやすいようにこのように長く作っているのでしょう。
ところが、皆さんご存知のように二胡の駒は丸いです。
これ!皮が新しいうちは何の問題も無いです。
充分皮全体を振動させられます。
沖縄の三線などは更に一点に近いほど皮に当たる部分が小さいです。
これも、皮が新しいうちは何の問題も無いのです。
また、沖縄の三線の蛇皮の張り方というのは皮が切れる寸前くらいまで張り込みます。
ですからたまに二胡の方が比較的安いので沖縄の三線の工房に蛇皮の張替えを頼んだりすると、とても二胡の音とは思えないキンキンの金属的な音の二胡になったりしています。
そしてこの三線はかなり頻繁に皮を張り替えます、早い人は3年くらい遅い人出も5年ぐらい弾きこむと皮を張り替えて、その緊張力を維持します。
それほど張りのある音が良いとされているようですね。
でもこれは蛇皮が、最初の内は木の板に近いほどの張りを持っているからでもあるのです・
蛇皮は緩みます。
鱗と鱗の間の柔らかいところが伸びてきます。
やっとその頃に、良い音色になるのが二胡です。
15年くらい弾きこんでいくと今度は伸びすぎてハイポジションの音が出にくくなりますし、音も明快ではなくなってきます。
何ともまだるっこい音になってくるのです。
演奏家ですと15,6年ですが、みなさんだと20年くらいするとこのように良く鳴らない、状態になってきます。
中国では、不思議なことにこうなるともう廃棄ですね!
皮を張り替える人というのがとても少ないです。
理由は「皮を張り替えると以前の音ではなくなる、だから他の楽器に交換する」?????????
一言も二言も言ってやりたいのですが、まあ、やめておきます。
そこで以前考えたのが、この柔らかい皮を使った胡弓の駒を見習ってこんな駒を作りましたね。
松富士駒、
駄洒落の大好きなほぉさん命名!
これ!このところ続けて、お客様に絶賛されました。
ほぉさん喜びますね!
なにしろ、今までで一番良い鳴りになったそうです。
この駒を最初見せると皆さん、大丈夫?と言う顔をされます。
でも弾いてみると!
しかし、ここで問題。
この駒を見ただけで、取り上げてしまう先生も今までに数名いらっしゃったのです。
こんなのは二胡の駒ではない。
再度!一言も二言も言ってやりたいのですが、まあ、やめておきます
きちんとした合理的な思考方法を持っている国だったはずなのですが。
ところがモンゴルの二胡弾きさんは最初からこのような駒を付けているのです。
まあ、いつの日にか、かの国でも作られるようになるはずです。
なにしろ、そんなには良い二胡に買い替えられない、紫檀が無くなっていますから。。
その上蛇皮も上がってきています。
みなさん一度考えてください。
そろそろ、15年以上あるいは20年弾いて音が出にくくなった楽器を持っていらしゃるのでしたら、一度はこの松富士駒使ってください。
そして、この松富士駒を使っていても、音が出にくく鳴ったら、皮の張替え時期です。
そのくらいになるように、たくさん弾いてやってください!!
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ