二胡工房 光舜堂

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蛇皮の善し悪し。その3

2011-04-15 07:58:54 | ■工房便り 総合 
鱗が大きいというのに幾つかあります。

まず、鱗の大きいタイプの蛇(大鱗ニシキヘビ)

同じニシキヘビの種類でも、10歳以上の10メートルに近いようなもの。

同じ皮でも、お腹のあたりの部分。

それから、食用の蛇(成長を早くして大きく育てたもの)

などなど色々あります。

一匹の蛇皮の中で一番鱗の大きいのは、おなかのあたりでしょう。

ではなんで鱗の大きいところが、良い音をする(良い皮)であるのか、私にはわかりません。

見た目に美しいという方もいらっしゃいますが。

鱗が大きいからと言って、とても私にはそうは思えません。

縞模様が見た目にきれいかどうかというのはあるとは思いますが、

縞模様は、音には全く関係ありません。

振動板としての性質からいって、一番良いのは、均一な張力を持つということではないでしょうか。

均一に伸びない蛇の皮の中でも、尻尾に近いところはかなり均一に伸びます。

一匹の蛇の中でも、均一に伸びるのはせいぜい3枚取れるかどうかです。

ところがこの部分は尻尾に近いですから、全体としては細くなり、鱗も小さくなります。

ですから、均一に伸びてなお且つ鱗が大きいというのは、食用蛇の尻尾に近い部分か、

余程大きな蛇の尻尾に近い部分という事ができます。

ただし食用に養殖された蛇は、皮も何処かぼってりしていて、音のボリュームが出ません。

音色は悪くはないとは思いますが、なんとなくしまりのない音がするというのは、

メタボに対する私の偏見かもしれませんが、音がパンッと跳ね返る感じがありません。

また、10メートルに近いような蛇の皮は当然年をとっています。

多分10歳くらいにはなっているのでしょう。

それらは、張ってみると鈍さがあります。

敏感に弓に反応してくれないのです。

多分、全体に硬いのかもしれません。

その皮を良く鳴らすためには、かなり薄く削って鳴るように作ってあります。

私は、これらの皮が悪いとは思いません。

それなりに二胡の音になりますから。

只私としては、音の厚みがあって、なお且つ敏感に伸びのある音をだせたらと考えていますので、これらの皮を使おうとは思いません。

良い皮かどうか?

このことは見ただけでは、私には解りません。

皮だけ張って50年というような二胡職人なら、解るのかもしれません。

やはり、二胡は弾いてみた結果良い鳴りをするかどうかが大切なのではないでしょうか。

沖縄の三線の人達が、なんで二胡の連中は鱗が大きいのを大切にするのか解らないと言います。

鳴りは、鱗の大きさには関係ないと思います。関係するとすれば、

鱗の硬さではないでしょうか。

これはバイオリンの塗装の大切さに匹敵する大切なことだと思います。

この項続く

西野和宏

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