さて蛇皮のことです。
何故二胡には蛇皮なのでしょう。
蛇皮の特性と言うのはなんでしょう?
二胡に他の皮を張ってみると良くその違いが解ります。
友人の皮のクラフトをやっている人に頼んで、様々な皮を提供してもらいました。
牛、馬、羊、豚、鹿、など。
当然全て生皮です。ナメシてしまうと、その最終工程で油をしみこませてしまいますから、柔らかくなって、張りがなくなります。
これらすべての皮にそれぞれ違いはあるのですが、(二胡の本の方に細かく書きます)
まとめて言うと、これらの皮では、音の張りがなくなるのと、全体に鈍い音になってしまいます。
特に高音は出にくくなります。
比較的高音でないと言われる、二胡の音が更に出なくなります。
柔らかいパンをたたくのと、硬いクッキーをたたくのとの違いです。
蛇皮には鱗があります。これは、通常の哺乳動物の皮より表面は硬いです。
蛇皮の鱗だけをその表面から落として見ると、中の皮は、比較的繊維質の強い鹿皮などに似た、真っ白な皮が出てきます。
その真っ白な皮の部分だけでならして見ると、鹿皮などを張った時の音に、似ています。
しかし違うのは、蛇皮は、かなり切れにくいものだという事です。
同じ厚みの鹿皮より、さらに強く張ることができます。
鱗の硬い部分があるという事が、蛇皮の良さなのではないでしょうか。
他の弦楽器も、表の振動板はかなり柔らかい木を使います。
バイオリンはスプルスです。これは爪で傷がつくくらいの柔らかいものです。
板胡や、琵琶などは桐の木を使います。言うまでもなくこれも爪の先でむしれるくらいに柔らかいものです。
只、バイオリンなどは、表面に硬い塗装をします。
松脂という硬いものを原料にしたワニスを塗ります。
皆さん松脂の硬さはお分かりだと思います。
内部の柔らかいスプルスとその表面の硬いワニスの組み合わせで、あのバイオリンの鳴りが作られます。
蛇皮はそれが自然に出来上がっているのです。
薄くて強靭。柔らかい内部に硬い表面。
それが蛇皮の特徴です。
それともう一つ蛇皮の特徴があります。
蛇は脱皮します。
3、4歳くらいまでは、年に数回成長に伴って脱皮します。
5歳ぐらいですと、年に一回になるとのことです。
脱皮したばかりの蛇皮の鱗は、かなりやわらいものです。
脱皮する寸前に比べると、半分くらいの硬度だそうです(これは聞いた話です)
ですから、脱皮したばかりに取るか、脱皮寸前に取るかによって、かなり皮の性格は変わってしまいます。
脱皮したばかりの皮は表面にかなり美しい鱗があります。光っています。
この皮の音は、何とも言えない弾力に富んだ音がします。
脱皮寸前ぐらいの皮は、かなり高質な音が聞こえます。
この脱皮時期にもよって蛇皮の質が変わりますが、これは最初から蛇を加工してみないと、二胡に仕上がってからでは解りません。
木を原木から扱わないと木が解らないのと同じように、
多分皮も養殖している現地でその取る時期を決めることからやらないと、二胡制作は完成しないのかもしれませんね。
この項続く
西野和宏
何故二胡には蛇皮なのでしょう。
蛇皮の特性と言うのはなんでしょう?
二胡に他の皮を張ってみると良くその違いが解ります。
友人の皮のクラフトをやっている人に頼んで、様々な皮を提供してもらいました。
牛、馬、羊、豚、鹿、など。
当然全て生皮です。ナメシてしまうと、その最終工程で油をしみこませてしまいますから、柔らかくなって、張りがなくなります。
これらすべての皮にそれぞれ違いはあるのですが、(二胡の本の方に細かく書きます)
まとめて言うと、これらの皮では、音の張りがなくなるのと、全体に鈍い音になってしまいます。
特に高音は出にくくなります。
比較的高音でないと言われる、二胡の音が更に出なくなります。
柔らかいパンをたたくのと、硬いクッキーをたたくのとの違いです。
蛇皮には鱗があります。これは、通常の哺乳動物の皮より表面は硬いです。
蛇皮の鱗だけをその表面から落として見ると、中の皮は、比較的繊維質の強い鹿皮などに似た、真っ白な皮が出てきます。
その真っ白な皮の部分だけでならして見ると、鹿皮などを張った時の音に、似ています。
しかし違うのは、蛇皮は、かなり切れにくいものだという事です。
同じ厚みの鹿皮より、さらに強く張ることができます。
鱗の硬い部分があるという事が、蛇皮の良さなのではないでしょうか。
他の弦楽器も、表の振動板はかなり柔らかい木を使います。
バイオリンはスプルスです。これは爪で傷がつくくらいの柔らかいものです。
板胡や、琵琶などは桐の木を使います。言うまでもなくこれも爪の先でむしれるくらいに柔らかいものです。
只、バイオリンなどは、表面に硬い塗装をします。
松脂という硬いものを原料にしたワニスを塗ります。
皆さん松脂の硬さはお分かりだと思います。
内部の柔らかいスプルスとその表面の硬いワニスの組み合わせで、あのバイオリンの鳴りが作られます。
蛇皮はそれが自然に出来上がっているのです。
薄くて強靭。柔らかい内部に硬い表面。
それが蛇皮の特徴です。
それともう一つ蛇皮の特徴があります。
蛇は脱皮します。
3、4歳くらいまでは、年に数回成長に伴って脱皮します。
5歳ぐらいですと、年に一回になるとのことです。
脱皮したばかりの蛇皮の鱗は、かなりやわらいものです。
脱皮する寸前に比べると、半分くらいの硬度だそうです(これは聞いた話です)
ですから、脱皮したばかりに取るか、脱皮寸前に取るかによって、かなり皮の性格は変わってしまいます。
脱皮したばかりの皮は表面にかなり美しい鱗があります。光っています。
この皮の音は、何とも言えない弾力に富んだ音がします。
脱皮寸前ぐらいの皮は、かなり高質な音が聞こえます。
この脱皮時期にもよって蛇皮の質が変わりますが、これは最初から蛇を加工してみないと、二胡に仕上がってからでは解りません。
木を原木から扱わないと木が解らないのと同じように、
多分皮も養殖している現地でその取る時期を決めることからやらないと、二胡制作は完成しないのかもしれませんね。
この項続く
西野和宏
羊は自分で作ってみて張り易いけどちょっと薄すぎたのときちっと張れなかったせいで全くボヤケタ音で、とりあえずいじり倒した挙句に廃棄処分(笑
猫とかワニとかどうでしょ。オーストリッチとかならセレブ御用達になるかも。。。胴にLVもどきの布を貼ってとか考えてましたですよ(笑
たぶん、わさびおろしとか財布にしかならないし、廉価でできると思いますけど...
以前、鮭皮の二胡を作った方がいましたが、それより面積があって良い部分がとれそうな気がするんですが?
昨日二胡つくっているという方にお会いしました。
黒檀のなかなかきれいなものでした。
蛇皮は、ある人に張ってもらったみたいです。