今回作りました新しい二胡弓
『麗風』・『音風』。
この弓を作るきっかけが、チェンミンさんの演奏でした。
また、チェンミンさんの愛用しておられる、18年前からの二胡の音でもあります。
この二胡の音を生音で目の前で聴き、また少し木軸などの調整をさせていただいて、
弾かせてもらったときに、
正直、これは新しい楽器ではかなわない。とつくづく思いました。
二胡は弾き込んでこそ その良い音色が出てきます。
いくら、私の作った二胡が きっちり3オクターブ出るとはいえ、それを弾き込んでこその二胡の音色です。
弾き込んだ二胡の音色にはかなわないのです。
どんな二胡でもです。
また、ある時、光舜堂でお会いした時に、福音弓を試されて、
これは良い弓ですね。この手元の重さがという話も出ました。
ある演奏会で、私の大好きな二泉映月をチェンミンさんが弾くのを聴いて、
(この曲はぜひ皆さん演奏会で生で聴いてください)
この曲の作者の阿炳の音を思い出す演奏ですが、はるかに洗練され、淡々と進むその音の流れが、
私に新しい弓の構想を抱かせたのです。
阿炳はどんな楽器でどんな弓を使っていたのか?
80年以上前の二胡が私の手元にはあります。
そして、また同じくらいに古い弓もあるのです。
阿炳の楽器は、今皆さんお持ちの数十万あるいは百万というようなすごい楽器ではありません。
多分、響きの感じから言って、今私が持っている80年前くらいの楽器と同じような桑の木を中心とした楽器だったような気がします。
まあ録音も古いですからよくわかりはしないのですが。
そして間違いなく絹弦です。
それを黒い馬毛の弓で弾いていたと思います。
黒い馬毛は強いです。
今でもコントラバスなどの太い弦を鳴らすのには使われています。
そして、弓も長さ74センチくらいと短いです、毛の長さは使用する部分で64センチくらいです。
ちなみに今皆さんの使っている弓の毛の長さは、65センチくらいです。
その点は今皆さんが使っている弓と同じくらいです。(ただし弓魚などはなく竹に巻き付けてあります)
ほとんどヴァイオリンの弓の毛と同じくらいなのです。
ただ、毛の束ね方が違います。
ここで気が付いたのです。
二胡とヴァイオリンの弦の違い、それに見合った、弓毛の束ね方の違いがあるべきではないか、と。
それと、それを活かす、竹の緊張力と しなり。
今の弓毛は、ヴァイオリンの弓毛の束ね方をまねしています。
あくまでも弦に対して一定の力が働くように、平らに張るのを目指しています。
ですから、北方系の弓毛は、先端も金具によって平らに張られるようになっています。
しかし、二胡はヴァイオリンではありません。
そして、チェンミンさんの弾く二胡の音色を聴いていて、
弓毛を随分複雑に使っている音色がするのです。
ある時はたっぷりと響かせ、ある時はかすれるように鳴らし、
一弓の中で、音色そのものが、彼女の感性に従って、変化していきます。
これこそ二胡でしょう。
これこそ、二胡の音色でしょう。
それは感性に支えられているとはいえ、聴きながら見ていると
微妙に弓の動きの変化が見られます。
この自在に変化する二胡の音色を、何とか実現できないのか、
何とか日本の二胡愛好家にも提供できないかと考えました。
もちろん技術の違いはあれど、現在の弓ではチェンミンさんといえども相当な練習をして実現しているのではなかろうか。
(素朴な民族楽器といわれるものほど、個人の技術が相当反映されます。楽器の進化というのは、それらをより多くの人が、少しの努力で良い音になるようにしていく為の技術的な進化です)
それを、何とか実現できる弓を作れば、日本の二胡愛好家たちも、かなり二胡をいろいろに楽しむことができるのではないだろうか。
そして、安定してロングトーンを弾ける弓。
強く弾けば強く鳴り、弱く弾いても響く弓。
どんなに早いスピードで弾いても素早く反応する弓。
脱力して弓の重さで弾いても、弓の先端まで鳴る弓。
そして弦を鳴らすのに無理がないのに、軽く弾ける弓。
気持ちの変化に素直に反応してくれる弓。
弓毛一本でも、かすれるように弾いても、音の途切れない弓。
一弓の中で、感情の変化に素直に従ってくれる弓。
こんな弓ができれば、理想ですね!
多分できたと思います。
そこで、今回チェンミンさんをはじめ、数名の演奏家にご協力いただいて、数十本の試作の上で作り上げたのが、新しい弓です。
チェンミンさんの素晴らしい演奏に接したことが、この二胡弓を生み出す基になったのでした。
チェンミンさんの、二泉映月。是非聴いてみてください。
(※ 新作の福音弓の発売についての詳細は、近日中に追って告知いたします)
『麗風』・『音風』。
この弓を作るきっかけが、チェンミンさんの演奏でした。
また、チェンミンさんの愛用しておられる、18年前からの二胡の音でもあります。
この二胡の音を生音で目の前で聴き、また少し木軸などの調整をさせていただいて、
弾かせてもらったときに、
正直、これは新しい楽器ではかなわない。とつくづく思いました。
二胡は弾き込んでこそ その良い音色が出てきます。
いくら、私の作った二胡が きっちり3オクターブ出るとはいえ、それを弾き込んでこその二胡の音色です。
弾き込んだ二胡の音色にはかなわないのです。
どんな二胡でもです。
また、ある時、光舜堂でお会いした時に、福音弓を試されて、
これは良い弓ですね。この手元の重さがという話も出ました。
ある演奏会で、私の大好きな二泉映月をチェンミンさんが弾くのを聴いて、
(この曲はぜひ皆さん演奏会で生で聴いてください)
この曲の作者の阿炳の音を思い出す演奏ですが、はるかに洗練され、淡々と進むその音の流れが、
私に新しい弓の構想を抱かせたのです。
阿炳はどんな楽器でどんな弓を使っていたのか?
80年以上前の二胡が私の手元にはあります。
そして、また同じくらいに古い弓もあるのです。
阿炳の楽器は、今皆さんお持ちの数十万あるいは百万というようなすごい楽器ではありません。
多分、響きの感じから言って、今私が持っている80年前くらいの楽器と同じような桑の木を中心とした楽器だったような気がします。
まあ録音も古いですからよくわかりはしないのですが。
そして間違いなく絹弦です。
それを黒い馬毛の弓で弾いていたと思います。
黒い馬毛は強いです。
今でもコントラバスなどの太い弦を鳴らすのには使われています。
そして、弓も長さ74センチくらいと短いです、毛の長さは使用する部分で64センチくらいです。
ちなみに今皆さんの使っている弓の毛の長さは、65センチくらいです。
その点は今皆さんが使っている弓と同じくらいです。(ただし弓魚などはなく竹に巻き付けてあります)
ほとんどヴァイオリンの弓の毛と同じくらいなのです。
ただ、毛の束ね方が違います。
ここで気が付いたのです。
二胡とヴァイオリンの弦の違い、それに見合った、弓毛の束ね方の違いがあるべきではないか、と。
それと、それを活かす、竹の緊張力と しなり。
今の弓毛は、ヴァイオリンの弓毛の束ね方をまねしています。
あくまでも弦に対して一定の力が働くように、平らに張るのを目指しています。
ですから、北方系の弓毛は、先端も金具によって平らに張られるようになっています。
しかし、二胡はヴァイオリンではありません。
そして、チェンミンさんの弾く二胡の音色を聴いていて、
弓毛を随分複雑に使っている音色がするのです。
ある時はたっぷりと響かせ、ある時はかすれるように鳴らし、
一弓の中で、音色そのものが、彼女の感性に従って、変化していきます。
これこそ二胡でしょう。
これこそ、二胡の音色でしょう。
それは感性に支えられているとはいえ、聴きながら見ていると
微妙に弓の動きの変化が見られます。
この自在に変化する二胡の音色を、何とか実現できないのか、
何とか日本の二胡愛好家にも提供できないかと考えました。
もちろん技術の違いはあれど、現在の弓ではチェンミンさんといえども相当な練習をして実現しているのではなかろうか。
(素朴な民族楽器といわれるものほど、個人の技術が相当反映されます。楽器の進化というのは、それらをより多くの人が、少しの努力で良い音になるようにしていく為の技術的な進化です)
それを、何とか実現できる弓を作れば、日本の二胡愛好家たちも、かなり二胡をいろいろに楽しむことができるのではないだろうか。
そして、安定してロングトーンを弾ける弓。
強く弾けば強く鳴り、弱く弾いても響く弓。
どんなに早いスピードで弾いても素早く反応する弓。
脱力して弓の重さで弾いても、弓の先端まで鳴る弓。
そして弦を鳴らすのに無理がないのに、軽く弾ける弓。
気持ちの変化に素直に反応してくれる弓。
弓毛一本でも、かすれるように弾いても、音の途切れない弓。
一弓の中で、感情の変化に素直に従ってくれる弓。
こんな弓ができれば、理想ですね!
多分できたと思います。
そこで、今回チェンミンさんをはじめ、数名の演奏家にご協力いただいて、数十本の試作の上で作り上げたのが、新しい弓です。
チェンミンさんの素晴らしい演奏に接したことが、この二胡弓を生み出す基になったのでした。
チェンミンさんの、二泉映月。是非聴いてみてください。
(※ 新作の福音弓の発売についての詳細は、近日中に追って告知いたします)