先日、ある演奏家の依頼で95cmという特別に長い弓を作りました。
馬毛に関しても、黒毛や無漂白あるいはイタリア産。
それもそれぞれ馬毛の量を変えて試していただき、大変満足のいくものが出来たと喜んでいただいたのです。
ここへきてさらに、その話を聞きつけたのかどうか、また二胡弓の注文が入ってきています。
それも仲介者を通してです。
この場合はお断りしています。
何故なら、実際に、竹の硬さや馬毛の質あるいはその量などお試しいただかないとこちらは作れないからです。
中国での弓の生産というのは、紅竹にしろ白竹にしろ、採ってきたものにとにかく馬毛をつけて終わりです。
中には多少竹の持ち手に工夫を加えたりあるいは最近では、一応かなり梳かし込んでヘアアイロンでピンと張ってきているものなどもできています。
にしても、竹の強さと弓毛の量のバランス。
また、弓全体の重さのバランスなど作りだしているわけではありません。
そして肝心なのは竹の反発力を整え、ある一定の幅の弓としての能力を考えられているわけでもありません。
これらの事を考え試して作っているのが、福音弓です。
ところがさらに、このところ個人個人の体格や演奏の仕方に合わせて作って欲しいというのが、二胡弓の特注です。
まずは工房に来ていただいて、今あるものの中から馬毛を試していただき、竹の反発力なども、そして肝心な竹の撓り具合なども試していただき、作り上げていくのです。
これはお互いに、時間も手間もかかります。
たぶん通常の福音弓より1万円くらいは余分に掛かってしまいます。
誰かを通して、こんなのが欲しいという事では出来上がりません。
しかしこのような注文が来るようになったという事は、二胡弾きさん達のレベルが全体に上がって来たのでしょうね。
二胡の演奏家が天安門事件をきっかけに日本に流れてきて、教室を開くようになってから、二胡が日本の中で学べるようになってから35年経ちます。
一時のブームではなくどうやら二胡愛好家も定着して、みなさん相当なレベルで音楽を楽しむようになって来ています。
そうなれば手に持つ弓は、2,3年で廃棄するものではなく長く自分の演奏をさ支えてくれるものと、認識が変わってきているようです。
皆さんが沢山二胡を楽しんでくれると良いですね!
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ