この蛇皮も、剥がしてみると 多少歪んでいます。
見ていて、何となく違和感お覚えて、曲げてみました。
見えますか?
亀裂が入っています。
このことは、今までにも何回かあったのです。
しかし、今まで張り替えた二胡50台くらいの楽器の中では、特にこのように見える場合は、亀裂があるというは特定できませんでした。
北京系にもあれば蘇州系にもありましたし、皮の厚みもいろいろでしたし。
但し亀裂が入るのは、比較的真ん中に多いという事は言えます。
胴の端の方にはあまり亀裂というのはなかったのですが。
また、まだ胴に張られているうちに、目で見てわかる場合もありましたし、
このように、剥がしてみないと分からないということもありました。
50台の内このように亀裂の入っているのが、6台では、絶対に真ん中あたりに亀裂が入るとは言えません。
原因をいろいろ考えたのですが、分かりません。
経年変化という事もあるかもしれません。
亀裂が、真ん中にあるということは、もともと弱かったところが、弾いているうちに駒の圧力で亀裂を起こしたという事も考えられなくはないです。
制作中の問題というのもあるでしょう。
あるいは蛇の生きている間の何かの傷という事もあり得ます。
しかし、このような楽器を弾いてみると、特徴があります。
速い曲を弾いた時に、弓の動きに対する反応が悪い。
ロングトーンを弾いた時に、音の揺れが大きい、
そして何より、調弦がすぐ狂ってくる。
強く弾いた時に音が下がる。
これらの事は、弦が使い過ぎて痛んで来ても、近い状態にはなります。
ですので、弦を交換してもこのような症状があるとしたら、皮の亀裂を疑っても良いのかもしれません。
光舜堂工房主