二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

新ワックイ❕一液性。

2022-07-26 09:41:06 | ■工房便り 総合 
昨年秋ごろから、あるお客様(Mさん)と一緒に一液性の比較的簡単なワックイを作ることを考えていました。
以前の物は木軸に蝋を塗り、その上に漆喰の粉を塗布し、適度な硬さになるようにしたものです。
ただお勧めした、ゲル状のワックス(例・ターナーのヴィンテージワックス)が乾いて固まった時に滑りやすくなる、というかたもいました。これは最初に施す時に漆喰の量が足りなかったのですね。このような場合は再度漆喰を塗布すればよいのです。
しかしみなさんなかなか木軸を抜いてという作業に慣れていないこともあり(ご自身でなるべく弦は交換しましょうね、慣れですから)一回で何とか数年もつくらいなものはできないのかというお話もありました。
もともとからしてワックイ(ほぉさんのネーミング)はヴァイオリン系の方達が、ワックスとチョークの粉を合わせてヴァイオリンのペグ(木軸)の調整が簡単にできるようにとおこなわれていたものです。
ただこれは木軸の棹の穴に対する食いつきの強度がヴァイオリンと二胡では角度が違いまして、チョークよりは漆喰の方が止まりやすいと考えたのです。
今までは中国では二胡の木軸にチョークの粉を塗りこんで止まりを良くしていました。
これはかなり硬くなります。
ですので日本の二胡の愛好家のほとんどの非力な女性たちには回しにくいものです。(実はこれも慣れなのです)
またチョークの粉は木軸に施した時に棹の前後の穴の木軸との隙間から落ちてしまい、木軸の真ん中だけで固まってしまうようなこともあります。
そこで以前のワックイの様にすると、木軸の穴全体に均一に塗布され木軸の調整がしやすくなったのです。
ただ、漆喰は販売されている梱包などにも注意書きとして、かなり強いアルカリ系なので目になど入った場合はすぐに良く水で洗い流すことなどの注意書きもあるようなものなのです7。(ただ、これは一般的に販売されてはいるのです危険物としての取り扱いではないです)そこで念のため光舜堂では自己責任でお客様にやってもらうべく、施工方法だけをお知らせして、強くご希望の方には(材料が手に入れにくいなどの理由)無料でお届けしました。
漆喰は職人さんたちが、古来から普通に施工しているものです。
その後、やはりなかなか上手く施せない方などもいらっしゃったようでした。
新しい、ワックイはこれらの事も考え。なるべく無害(口に入れるのは禁止、手についたものを目に入れない限り安全)なものを使って作るこおとを試してきました。
中身は、オイル(鉱物系)・冗談ではなく・小麦粉、蕎麦粉
オイルも比較的重たいグリースなどの方が良いです。
チョークの粉はもうこれは皆さん使っています。
しん粉や片栗粉コンスターチ、などでもで効きはしますが、蕎麦粉が良かったように思います、それも荒引の。
これも、基本的には販売しません!
施工は簡単です。
木軸にこのように厚く塗りこんで、最初は軽くくるくる回してなるべく穴の中全体に塗布されるようにします。

二回目も軽く回してその後強く押し込んで回します。(一回でも綺麗には行く時もありますが)
そうすると木軸の穴の中にこの新ワックイが塗布されます。


これで、良く回るけれど、きっちり調弦もしやすく止まるものになります。
ただ、これを作るのはかなり大変です。小麦粉と蕎麦粉が平均化して混ざらないと上手く止まりにくいのです。
ですのでこの新ワックイ工房に来られた方に、対面での施工方法をお伝えしてお譲りすることにしました。
私より先行して、沢山の試作品を作り、この一液の新ワックイを作るきっかけを与えてくれたMさんに感謝します。この方の凄いのは、ある企業にお勤めの方ですから、副業が出来ないのです、ほんとにお金にもならないことを、自費で作って二胡弾きさん達のお役に立てばと、私にもいくつも試作品を送ってくれたりもしています。本当に感謝です。
一応の完成にはなったとは思いますが、Mさんとも話して、今後も研究は続けることにします。
もしかしたら、Mさんがその科学的な知識を生かしてさらに良いもの作り上げるかもしれません。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ
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