二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

解りにくい二胡の判り易い理論。

2016-11-08 10:32:10 | ■工房便り 総合 
楽器の製何作理論というのは、どうもわかりにくいです。

振動学、音響学が、などと言っても、決してすべてが、解明されているわけではありません。

理由は、どんな楽器でも一台一台素材が違うからです。

特に、木を使った擦弦楽器は、全て音が違うといって過言ではありません。

勿論音色、音量、遠鳴り、

皆さんも、お友達の楽器と弾き比べた時に、相当音色の違い弾き心地の違い実感されていると思います。

この楽器の特徴はなどと、電子機器で計ってそのグラフをネットなどに載せたとしても、

それは単に一台のその楽器の特徴でしかありません。

例えばヴァイオリンにしても、良い楽器を作ろうと理論づけてすべての数値をしらべて、

その通り作ったとしても、全てが名器にはなりません。

100台作っても、名器は無いかもしれません。

大体が、二胡は全て、同じメーカーなら同じ刃型で削ります。

あるメーカーのすべての二胡の胴は同じ形をしています。

同じように蛇皮も張ります。

でもすべて、音色も響きも違います。

二胡は一台一台手作りされているおと考えでしょうが、それはあり得ません。

全ての二胡の胴は、機械によって同じ形に削られているのです。

にもかかわらず、良い楽器、名器というのは、ほんの一握りでしかありません。

皆さんに判り易いのは、蛇皮の違いでしょう。

これは見た目にかなりはっきりと、違いがあります。

鱗の大きさも違いますしその並び方も多少は違います。

ましてやその柄も違います。

だからでしょうか、鱗の大きなものの方が良い楽器になるという迷信、というより嘘を

というか見た目による価値観付けたいという販売会社の基準が、いまだに流布されています。

たぶん木の方は見た目では全く分からないと思います。

先日、弦楽器フェアに行って来ました。

沢山の綺麗なヴァイオリン診てきました、残念ながら弾けませんのでみるだけでしたが。

中で、弓だけを売っているお店というのがかなりあります。

安い物でも、15,6万円、高い物は、数百万円、さすがに1000万を超えるのはみませんでした。(あったのかもしれませんが何しろ弓のお店だけでも相当数ありましたから)

お客様達は、其々の弓を手に取っておいてあるヴァイオリンで、弾き比べていましたが、

弾けない私は、まずは木を見てそれから、弓を手に取って耳に近づけ叩いてみるしかありませんでした。

「これは良いね!」などとたたきながらほぉさんと話していると、

後ろから、何とも雰囲気のある女性が「お目が高いですね、私たちもそうやって原木をしらべるのですよ」

なんとその女性が作っている弓だったのです。

ヴァイオリンの弓は、それぞれの木の硬さや弾力の癖に応じて削り上げていきます。

勿論量産の物は違いますよ、これは良い弓の形と言われている物を原型にして削られ形作られています。

二胡の弓はそもそも、大元の竹が生です。

そのうえ、大量生産されているので良く乾かされていません。

ですから、後から曲がってきたなどというのは普通にあります。

さすがに15000円を超えるようなものは、多少は乾かされていて、

ほぼ似たような硬さの物だけが使われているようです。

それ以外は、ほぼ自然の竹に毛を張っただけという素朴な状態の弓でしかないようです。

当然当たりはずれはたくさんあります、そこで皆さん次々と買い替えるのでしょうね。

まあ、このように木でできた楽器と言うのは、

その素材の違い、そしてその素材のどこの部分を使ったか、、その乾燥度、そしてその素材の硬さや弾力に合った厚みに削られているかというのが、大きく影響するのです。

にもかかわらず、二胡は完全に量産(同じ型で成型する)状態でしか生産されていません。

ヴァイオリン等も量産の物は同じように型で製作されます、そうでないと金額を抑えることが出来ないからです。

でも楽器の不思議なことは、特に二胡は、その木がその使っている方にあった場合とても良い鳴りをします。

安くても、お土産品と言われるものでも良い楽器があるのはそのためです。

そんなひとつづつ違う、二胡たちを何とか千斤をまき直し駒を替え高さを調整し、木軸を削り台を直し、

適正な弦を選び、弓を替え、其々の楽器の最大の力を発揮させるのが調整です。

その調整の理論さえしっかりしていれば、どんな二胡でもかなり良く鳴のです。

それには二胡はこのようにあるべきという理論が無いと、単なる経験でこの千斤はこのような種類が良い、この駒は良いがこの駒は良く無い、などと、場合々々のやり方でしかなくなります。

そこで考え出したのが光舜堂式の二胡の調整理論です。

二胡の楽器としての特徴を研究し、その製作の本来の理論に基づいた調整方法の原理をお伝えするのが、

今回の調整講座です。

講座としては、

まずは何故二胡はこのような形であり胡の形を活かすためにはという講座。

そして各部分の正常な状態を説明し、そのせい正常な状態をどうやって維持させるかの実践

適正な材料と道具類の使い方。

そして場合に応じた、変則技。

それから、小さな修理に応じられる素材の説明とその供給(紫檀の粉や、小さな部材など

それらを、半日でずべて伝えきるのかどうか、みなさんの頑張りによるかもしれません

テキストをお渡ししますので(そのテキストが限界となり本を作りつつあります)

お帰りになってから、沢山実践していただければ、良い調整士が日本各地に広がっていくことでしょう。

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