二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

松脂の話。

2021-05-22 11:02:11 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
光舜堂では松脂を作っています。

原料はこれです。


これは松の樹液をゴムや漆あるいはメープルシロップなどと同じように、樹皮に切れ目を入れてそこから滴るのを集めるやり方と、幹に穴を開けて容器を差し込み採取する方法などで集められたものです。

カナダでメープルシロップを取るのに、木の幹にカラン(水道の蛇口)を差し込んでいるのを見たことがありした。コックをひねると樹液が出てきたのには驚きました。

採取した、松の樹液を熱にかけて蒸留し、テレピンオイルとロジンに分離します。固まったものが、これです。(松脂はワニスといわれる塗料の原料にもなります。またヴァイオリンの塗料の原料にもなります)

ただこの中にはまだ相当なオイルが含まれていまして、それを更に加熱して固めたものが、


これ、割と二胡の松脂として販売されているものに近い色をしています。ただこれにはまだ油分が残っているようでこの松脂を使い続けると、次第に弓毛にオイル分が付着して、松脂のノリが悪くなってくるようです。

そこで、粉砕して細かくして、水に晒して、それを更に加熱します。



かなり赤くなりました。殆どオイル分の無い松脂が出来上がります。通常の松脂よりべたつきが少なくなっています。

ところがこれより更に進化というか、熟成せいされたまつやにというのがあります。



自然の中で樹皮の小さな傷などから出てきたものが固まり、それが20年30年と熟成されたものです。

かなり黒いのです。割ってみると相当小さな粉になります。そして弓に塗った時に適度な粘りと、繊細な振動を感じます。

中国では京胡を弾かれる方達が使っているとも聞きますが、これはほとんど日本には入ってきません。

この材料は、弦堂さんが手に入れそれを光舜堂で加工して、固まりにしたものです。



松脂と弦の振動の関りというのは、二胡を弾く方それぞれの好みもあります。また弦との相性などもあるようですし。当然馬毛との相性もあります。
みなさんそれぞれに、いろいろ工夫しているようです。

工房光舜堂西野和宏&ほぉ
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