これはチーク材の二胡の棹です。
元々はピンクの二胡でした。
中西桐子さんからお預かりして、ピンクのCDMを張ったのです。
勿論色も、塗りなおしました、元の色より少し濃いめのピンクにしたのです。
さて出来上がって試し弾き。
そしたらなんだか、弓の毛がピンクになってきました。
よく見ると、胴に塗ったピンクが削れて弓についてしまったのです。
このピンクの二胡は、もうすでに一度薄いピンクが塗ってありました。
しかしどんな塗料が使われているのかは、わかりません。
うっかりウレタンなど塗ろうものなら、元のピンクを溶かしてしまい、まだらになったり剥がれてしまったりもします。
こういう時には、上から水性塗料を塗ります。
最近の水性塗料はとても食いつきが良くどんな塗料の上にでもノります。
と、これがあだになりました、あまりにも食いつきが良いので下の塗料まで剥がれてきたのです。
何故と、普通はあり得ないので、致し方なく全部はがしました。
それがこの画像です。
出てきたのは、チーク材でした。
チーク材の上に、水性のパテが塗ってあったのです。
チークは木の中でも特に油分というか蝋分の強い木です。
だから船の甲板などに使われます。
こんなことしやがってと怒り心頭、チーク材に水性のパテなんかノるはずがないからです。
おかげで塗料の削りはとても楽でしたが、
このピンクの二胡は、最初お預かりした時に、明るいとても良い音がしたのです。
なんだか聞いたことのある音だなとは思っていました。
ピンクの塗料を削り取ってチークが現れてきた時、なるほど!と納得した物です。
以前会員さんが持ってこられた相当古い二胡がチークで作られていました。
音も枯れてきてなおかつ明るく、かわいい音だなと思ったことがあります。
もしかしたら皆さんもお持ちの方がいらっしゃるかもしれません
勿論チークの二胡とした販売されているわけではありません。
チーク材は削ったばかりは緑色なのです。
緑色というと、緑檀ですね。
本来は、本来は緑檀というのは、リグナムバイダという気の事を指します、世界で一番重い木です。
しかし、そんなに簡単に手に入る木ではありません。
そこでチーク系の木が、緑檀として販売されています。
それもとても安くです。
安い緑檀材の二胡があったら、チーク系と考えてよいと思います。
でも安いからと言ってバカにでき無い音色がこのチークです。
蝋分がとても多いですから、明るくなおかつみっしりとした良い音色なのです。
重厚感はありませんが、このピンクに塗ったのが幸いしたのか、(塗料は楽器の振動を少し止めます)
ヴァイオリン等の塗料もその役目を果たします。
白木の楽器の方がよく鳴るのですが、色々な音が出てきてしまい、それを生成しているのが塗料の様です。
ですから、琵琶なども白木のままだとこのように澄んだ音というのは出てこず、むしろくぐもった音になります。
単に装飾的な意味ではなく漆を塗る良さというのはあるのでしょう。先日琵琶を修理して塗装し直した時に感じた事ではあります。
チーク材は他の二胡材などに比べるととても安いです。安いといってもいわゆる建築材料などに比べると、10倍はしますが、、
しかしこれだけ材料がなくなってきている二胡界ですから、チークの良い音も広げる意味はあるかもしれません。
ピンクに塗って!