これは、日本に入ってきてから、5年ほど経つリグナムバイダです、いわゆる緑檀です。
これを製材したとたんに、このように曲がります。
木目に沿って5ミリくらい曲がります。
大体40センチの木が、5ミリくらい曲がりますから、
二胡の胴にすると、役1,7ミリくらいは曲がるのです。
1、7ミリというっても大した数字ではないように思えますが、
二胡の胴にしては大変な隙間が出え切るということなのです。
要するに胴が割れるということはこういう力が働いて、6枚の板をはぎ合わせていても、
割れてくるのです。
この原因は、まっすぐでない材料を使うということ、
そして、乾燥が十分でないということ。
100分の1、1000分の1を争う楽器制作の、精密な作業の中では、
1,7ミリの隙間など考えられない不具合となります。
これらの材の動きを抑えるには、やはり十分な乾燥
そして、材の選別ということから始めなければいけないのですが。
木自体、すべての木がまっすぐに育つわけではありません。
やんなの傾斜面に育てば、落ちていかないように片側だけが強くなったり、
風の強いところでは、風に負けて、片側に傾きます。
皆さんも海辺の松が、みな陸側に傾いて立っているのを見たことがあると思います。
それらの育ってきた条件それらを踏まえて、木を扱うのが必要なのですが。
年間25万台の製作といわれる二胡の製作で、そこまで考えているのかというのは疑問です。
すべての二胡は、材料の性質によって、そのなりと響きが決まってしまいます。
その二胡の音色を支える材そのものをどう扱っていくかというのが、楽器つくりの仕事なのです。
美しく姿の整った材料はそれだけで美しい音色を奏でます。
ですから皆さんも楽器購入の際には、美しい姿をした、胴の材を探してみてください。