二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

楽器としての二胡、その7

2012-03-13 10:02:32 | ■工房便り 総合 
バイオリンは、メーカーにもより作家にもよりその形も少しずつですが違います。

しかしどのメーカーの物でも直せるように出来ています。

ギターもです。

直すのには、それほどの凄い技術はいりません。

例えば、仏様を彫ったり、黒檀のお厨子や、アールヌーボーの家具を作るほどの技術も要りません。

バイオリンの構造を知っていれば、直せるのです。

ところが二胡の修理は、そうはいきません。

もし、木軸があまりにも合わなくなったとします。

何年も使うと、少しずつ乾いて木が歪みますし、内部にチョークなど入れておくと、チョークは木よりも硬いのでいずれは、木が削れてしまいます。

削りなおして直せる程度の歪みも有りますが、それ以上になった時には、作り直すしか仕方ありません。

作り直すためには、先ず、棹の穴の歪みを治すのです。

棹の穴は大概、楕円になってしまいます。

最初は円だったものが、木が乾くとともに痩せてきて、縦長の楕円になります。

これを削り直すのです。

ところが今の、二胡は、穴の大きさが、まちまちです。

上と下でも違うのも有ります。

理由は、穴をあけるのに、焼き鏝で、焦がして開けるからでしょう。

温度によっては焦げ方が大きくなりますから、多少の違いが出るのは仕方のない事なのですが。

また、メーカーによっては、その角度も違ったりします。

それらを一度同じ木で埋めます。

その時に、タイトボンドなり、エポキシボンドなりでシッカリ止めます。

それから、再度穴をあけ直します。

私の場合は、超硬鋼という、金属に穴を開ける刃物で作った、円錐形のドリルで開け直します。

この時に、一番大変なのは、楕円になった、棹の穴に合わせて、木を削り、ぴったりに埋めなければならない事です。

もう一つ方法は有ります。

タップという、女螺子(メネジ)を切る道具を使います。

要するに、ボルトとナットの、ナットを作る刃物です。

これを太さが、内部で変わりますから、3段階ぐらい用意して、棹の穴の中に、3段階にナットの削りを入れます。

それを、手やすりで削り出します。

言葉にするとこのような事なのですが、かなり細心の注意を要する作業です。

二胡を作ると言うのは、木を使うと言っても、その木が紫檀黒檀なのです。

普通の木工道具というのは、役に立ちません。

私の場合は、殆ど金属用の刃物を使います。

たぶんそこが、二胡作りの難しいところの、一つでしょう。

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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
タップは、 (やすぞ~)
2012-03-13 17:23:31
昔 よく使いましたが、木に使うと、かけたりしません?
テーパーも弱く思いますが…

そこは技術なんですかね?
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やすぞ~さん (nishino)
2012-03-13 17:38:15
それが紫檀黒檀の凄いところです。

タップを切ると、そのままボルトを差し込めますよ。

紫檀で、ドアの取っ手を作って、ドアに停める時に、ボルトで固定できるのです。
やはりすごい木です。
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