これはあるお客様のお持ちの駒なのです。
二胡の駒で一番特徴的なのが、素材がそれこそ様々だという事かもしれません。
そして形状もかなり多くの形がありますね。
それぞれに特徴もあり、楽器に合うかどうか、ということもありますが好みというのが一番大きいようです。
弦楽器の中で一番形状に変化の無いのが、ヴァイオリンの駒でしょう。
ヴァイオリンの駒というのは現在では100%楓です。楓にしてもその部分や材の取り方で、金額が千円台の物から3,4万するものまでありますが、形状はほぼ変わりません。
ヴァイオリンが作られてから400年、とくにこの200年くらいは形が変わらないようです。
それは駒そのものの形が、ヴァイオリンの鳴らし方、弦を横に弾くのに、表板を立てに振動させるための構造になっているからでしょう。
その点胡弓の駒も昔からほとんど変わらないですね。
素材は竹ですが、ヴァイオリンと同じく弦を横に弾いてなるべく皮が縦に振動するように作られているのだと思います。
もしかしたらヴァイオリンの駒の形状を少し取り入れたらもっと大きく鳴るのかもしれませんが。
形が変わらないという点では、三味線も変わらないですね。
これは水牛の角を圧縮して削りだしたものだそうです。(義太夫三味線)
ただこれも数種類ありまして形は同じでも中に埋め込まれている鉛や銀、金の重さなどが数種類あって曲によって変えるということです。
沖縄の三味線も殆ど変わりません。
昔からの物は竹で作られていますが、最近になって、サンザシの枝が良いとか、黒檀の物がなど色々出てきているようです。
そうそう三線と言えば、こんなものもありあます。
これ何となく見たことありますね。これは弱音駒なのです。
以前書きました、私の作った二胡の弱音駒
基本的には同じ形ですね。両サイドが皮に当たって真ん中が浮いている、蛇皮を小さく振動させるものです。
私のは鉛筆弱音器とこの三線の弱音駒の合体です。
二胡はある意味、擦弦楽器としては大変優秀な形をしているのだと思います。
ヴァイオリンや胡弓のように横に弾く弦の振動を表板(皮)に対して垂直に変化させるための物ではないからです。
弓を弾く動きが、もうすでに蛇皮を立てに振動させる動きになっているからです。
そういう点で、駒はあるある意味なんでも良く、多少の形状の違いや材質の違いに関係なく、弓を胴に平行に弾きさえすれば、良く振動するのでしょう。
但し蛇皮が演奏することによって少しずつ緩くなってくることによる駒の高さの問題はあります。それはまた別の項で。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ