.今、工房に売れない二胡が2台あります。
売れないというより、売りたくないという感じです。
胴は真黒黒檀、棹は小葉紫檀の低音GD弦。もう一台は小葉紫檀の胴に真黒黒檀の棹の二胡。
工房にいらしたお客様に弾いてほしいと思って、光舜堂の楽器の販売をお任せしている金沢の孟さん(NML)のところに送れません。
孟さんに弾かせたらきっと、今、孟さんのところに置いてあるシマリスちゃんと同じで「これ売りたくない!」と言うにきまっています。私もこの楽器に関しては金額を付けたくないのです。弦堂さがこの楽器を弾いて、「ある意味、大陸を超えたかもしれませんね。大陸のは大陸の良さがありますが」と言っていただいて以来なかなか、送れません。
孟さんというぇば、
いつ見ても思うのは、、、安いなーと、、思うのです。
金沢のNML(ニコミュージックラボ)さんの楽器の金額です。https://nikolabo.buyshop.jp/
ネットでしか見ていない方は、想像がつきにくいかもしれませんが、私が実際にお店に置いてあるものを弾いてみて、そのレベルの高さに驚きます。
楽器としては4万円台から30万円前後のものまでありますが、楽器の質としてそれぞれの価格にきちんと見合っているというのが実感です。他店の3分の2くらいではないですかね?あるいは半額近い?中国で楽器を見てきた孟さんとしては、「そんなに高いものではない!そんなに儲けてどうするの?」という感じなのだと思います。
それに多分、仕入れのルートが違うのでしょうね。
私が知っているある楽器屋さんは、中国の工房と年間100台200台という買い取り契約しているといいます。やはり中国人同士だと違うのかもしれません。
そんな中で、私の作ったものはどうしても高い!!と感じられてしまうでしょうね。細々と日本で作るのと材料費も違いますし、工賃も違います。
しかし、小葉紫檀あるいは黒檀、皆さんも調べてみるとお分かりだと思うのですが、日本国内でももう手に入らない材料ではあるのです。というか中国でも大変貴重な物となっていて、大変な付加価値が付いているようです。
ですから小葉紫檀の楽器などは100万を超えるものも多くあります。
弓などは、中国で購入すると数千円で手に入ります。多分ネットでもそのくらいで購入できるのではないかと思います。
ここで問題はどんなものが来るかわからないという事でしょうね。運みたいなものですからとても良いものも来る場合もあり得ます。が。
皆さん弓を何本お持ちですか?
私が知っているお客様の中で一番多い方は、15本買ったということです。
多分15万円を超える金額だとのことです。
そのお客様は、この4年くらいに二回くらい弓毛の張替えを光舜堂でなさっていまして(大変沢山弾く方ですから)結局安いですねとおっしゃっていただけています。
ある販売店さんが、福音弓を弾いて、「良い弓だけれど。高い!」と
「光舜堂は信者さんみたいな人が多いから!」
実はこの言葉、他の時にも言われたことがあります。ちょっと、ムッとしてしまいます。
「では、何本何本弓持っていますか」とお聞きしたところ、「7本くらい」
「それ合計したら福音弓よりだいぶ高くないですか」
そんなこんなのやり取りがあって、結局お買い上げいただきました。
勿論中国製製の弓にも良いもの作る工房はあります。でも、同じ工房の物だからといってすべて同じなわけではありません。
弓に対する考え方が違うのです。弓なんかなんでも同じ、弾く人がそれをうまく使いこなせばよい、どうせ消耗品だから、と言って作るのと、手をかけて、一本づつ完成度を上げて作るのでは道具としての機能が全く変わってきてしまいます。
弓は安い物、消耗品という感覚で弾いている人が多い限り、中国の工房の弓は金額を上げようがないでしょうね、勿論作っている人たちは良い弓の作り方というのは知っているはずなのです。
まさか、ヴァイオリンの弓の様な付加価値の塊のような金額にする必要はなくても、手をかけて、一日2,3本くらいにすれば、相当安定した良いものが作れるはずなのですが。
楽器にしろ、弓にしろ音楽を奏でるための道具なのです。
主体は音楽であってそれを手助けする、まあ、楽器の場合は、その楽器の音色を引き出すそして音楽をするためのより良い道具であるべきでしょう。
ヴァイオリンの世界でも量産品というのはあります。しかし、愛好家の音楽のレベルが上がれば上がるほど、楽器委の持っている良い力を欲しいと思うのです。
ある意味良い道具は皆さんのレベルを上げてくれることもあります。
あるいは皆さんの実現しにくかった音楽の心を活かしてくれる場合もあります。そのような楽器に、弓に出会えたとしたら、価格は皆さんが決めていくのかもしれません。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ