二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本の二胡を作る。蛇皮編。

2012-11-12 14:44:24 | ■工房便り 総合 
二胡の二胡たる所以のような部分が蛇皮だと言っても過言ではありません。

蛇皮は薄くて強靭。

強い張力が得られるのと、普通の哺乳類と違って鱗の部分の硬さがあります。

ですから、普通の鳥の皮や豚の皮のような内側の皮に、鱗と言うかなり硬い物が乗っている二重構造になっているのが特徴でしょう。

楽器の振動膜にした時に、複雑な音色が出る所以です。

蛇皮はワシントン条約で輸出入が規制されていますが、許可証があれば輸入できます。

自分で輸入するのはかなりしっかりしたルートが無いと出来にくいのですが、できないことではありません。

ベトナムや、タイなどでは、食用として、養殖されています。

食用が主力な為最近蛇を食べる人が減ったせいでしょうか、養殖の数が減っているようです。

皆さんご存知のように、沖縄の三線は蛇皮を使います。

また蛇皮は財布やバックなどにも使われますから、国内のバックやさんも輸入はしています。

それらの端切れと言うのはネットでも販売しているようです。

光舜堂は直接の輸入と、知り合いを通しての輸入と、中国を通しての輸入と3パターンを持っています。

全て正規の許可証のあるルートです。

何せ相手とお会いしたことのあるわけではありませんから、念のため、色々なルートを作りだしたのです。

いろいろな形で最初の頃は端切れでやっていましたが、最近になってそれらの残りの皮を見ると良くこれ位のレベルのもので鳴らしていたなと、驚きます。

最初に蛇皮がそのまま届いた時には驚きました、反物のようにグルグル巻きになって来ます。

蛇皮は、基本的には面積で売られます。

長さ×幅ですね。

ですから最近分かったことでは、養殖業者の方で、相当伸ばして来てしまっています。

ですから無理やり広げることによって、相当蛇皮の繊維質が痛んでる場合があります。

また、何時の頃からか、蛇の鱗は大きい方が良い皮だという話が広がり、その為に余分に伸ばされてしまい、張力のかなり悪い物も多く出回っています。

養殖業者さんに交渉して、伸ばした分をお支払いするので、伸ばさないでくれと言う話をしました。

おかげでこの2年ぐらいは、かなり良い張力の物が入って来ますが、蛇その物も個体差が大きく、伸ばし始めてみないとその状態は解りません。

日本のある楽器屋さんではとんでもなく大きい鱗の蛇皮が使われています。

これは二重の意味で鱗が大きくなっています。

一つは、元々から鱗の大きい大鱗ニシキヘビと言う蛇の種類を使っているようです。

それに加えて、そこのお店の楽器は8角形ですから、皮をできる限り薄く削ります。

薄く削ると、良く伸びます。ですから余計に鱗が大きくなってしまいます。

この8角形は元々からして大きなボリュウムを求めて作られている物ですから、皮が薄くなった分大きく振動して音は大きくなります。

皮を薄くしても6角形よりは角がきつくなくきれいに均一に張りやすいというのはあります。

8角形をお持ちの方は、裏から覗くと6角形に比べて大変明るいのが良く解ります。

比べてみて下さい。

しかし音色としては音の含みが少なくなりますから、単調な音色と言ってよいと思います。

音色は好みですし、演奏家の技術と言うのも大変大きくかかわって来ますから、これが良いとか悪いとかは、皆さんのご判断でしょう。

ただ中国では殆どこの8角形は最近では販売されることが少なくなり、二胡製作のコンクールでも金銀銅を取るような二胡は、皆6角形ですこれは何か理由があると思えます。あれだけ、大きな音をと追及している、ジョージガオさんの二胡も6角形です。

音色の複雑さを作る部分が、蛇皮だと言っても良いと思います。

しかし今でも8角形は作られていますし、作られた8角形はそのほとんどが日本に入ってきているようです。

このあたりの情報は中国にじかに行かれた方の方がお持ちだと思います。

中国でも8角形は金額が安いですから、輸出用にしているのではないかと思われます。

二胡は100台あれば100台とも違う皮なのです。

ひとつとして同じものはありません。自然の素材を扱うということでは木でできた楽器はすべて同じものはないと言ってよいと思います。

二胡にとって蛇皮は、余計その個体差をはっきりさせるものです。

たまたま入手したものであったとしても、選びに選んだ上で入手したものでも、その弾き込み次第では、皆さんの個性に馴染んでいくというのも蛇皮のおかげだと思います。

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2 Comments

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Unknown (enari)
2012-11-12 16:24:57
私も、大きな鱗の方が大きな蛇を使っているから、皮がしっかりしていると教室に通っていた頃聞いたことがあります。
しかし、その話から、蛇の種類が変わっていたり、引き伸ばされる率が上がっていたりすれば、全く意味が違いますね。
二胡販売業者でも付加価値をいろいろな部分で付けようとするのは、当たり前かもしれませんが。
購入する方も知識を持つ必要を改めて感じました。

皮に油を塗る話も聞いたことがあり、そういった情報を疑いも持たずに聞いていましたので、こちらで勉強できる事は、大変ありがたいです。
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迷信? (nishino)
2012-11-12 18:36:35
enariさん
むしろ、鱗は皮の厚い尻尾に近い方は小さくなります。
付加価値をつける為に、無理やり皮を伸ばしたりして余計皮の強度をおとしてしまうこともあります。
もっといやなのは、楽器の新しい時は普通硬い音がします。
最近最初から音が出るように緩く張った物が凄く多くなってきています。
一度はちゃんとした、張りにまで、伸ばした物を緩く張るなら良いのですが、最初から、工程を減らして緩く張るものですから、最初は鳴っても、2,3年で年用も無くゆるくなるものがおおいのです。
また、反対に、高音の出にくい二胡の特徴を、皮を強く張るということだけで、キンキンな音にしてしまっている物です。
基本的に高音を出すためには構造から変えなければいけないのですが、
皮はちゃんとした弾き込みをしさえすれば、相当良い音になってくれます、。沢山弾き込んでやって下さい

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