これは「明王」の棹です。
「明王」は小葉紫檀の中でも、かなり硬いところを使って作った二胡です。
以前書きましたように、かなり木の悪い部分、見た目の悪いということですが、
それだけを集めて作った二胡の胴です。
かわいそうな二胡ですが、これほど鳴る二胡というのは今のところ聴いたことが無いとおっしゃる会員さんもいらっしゃるくらいです。
まあ、そのことは置いておいて、
せめて、棹ぐらいはきれいな小葉紫檀を使ってと、
甘やかしたのがいけませんでした。
音色は良いし音も良く鳴るのですが、
棹が曲がります。
今までにも8台くらいは、小葉紫檀の棹を、曲げ戻ししたことがあります。
しかし再度曲がります。
これは致し方ないのです。
むしろ棹が曲がるからこそ、本物の小葉紫檀とも言えるのです。
もちろん、全ての小葉紫檀の棹が曲がるということではありません。
木の比較的補油面に近いところは、音色が良い反面、曲がりやすいのです。
木は芯に近いほど硬く、周りのほうは柔らかくなります。
わかってはいても音色を良くしてあげたいと、柔らかい部分を使いました。
いくら柔らかいといっても、さすがに、紫檀ですから、それほど簡単に曲がるわけではありません。
二本の弦の、合わせて16キロくらいの加重を支え続けていると、曲がってしまうのです。
曲がると、調整がしにくくなります。
(このことは今書いている本に詳しく載せます)
また、弦との距離が変わってしまい、演奏者にはとても弾きにくいものになります。
注意!ですから私はなるべく、木軸を演奏し終わったら緩めることを勧めています、皮にもよくないですよ)
何度直しても曲がりやすいこの小葉紫檀の棹、何とかならないかと考えて、
硬いココポロの木を、埋め込みました。
4ミリ厚の幅8ミリ(もっと厚くてもよかったかも)
きれいでしょ。
その上音色は、紫檀のまま。
そして曲がりもなくなりました。
棹によって二胡の鳴りと音色は変わります。
良い二胡なんだけれど今一つ鳴りが、と思っている方、小葉紫檀の棹に替えてみたらどうですか。
見事に良い音色になるのですよ。
そうそう、これは、また聞きですが、
演奏家のJ氏が良い楽器の音色と鳴りを求めていろいろ試して、
黒檀の胴に、紫檀の棹を付けたということを聞いたことがあります。
良い音色を求めていろいろ試してみたのでしょうね。