工房食の極意

「ほぉさぁ～んっ、お腹すいたね～」


夕暮れ時、こんな声が事務所の外から聞こえてくると、ドキッとします。

「おなかすいたね」は、＝「なんか作って～」の意。
もちろん、たまに大殿様もインスタントラーメンとか振舞ってくれますが、
だいたいが、

「なんでもいいから作って～」。


ですが、正直、あまり料理は得意とは言えないワタクシ。
”超薄味人間”なので、人様が美味しいと言って食せる物を、出す自信がありません。

なので、ドキ。


殿の分だけなら、テキトーに作って済ませられますが( 小食だから助かる ）、
男の子達がたくさん居ると、とたんに頭がイタイ。
なにしろ、みんな、力仕事中。
絶対、ハラヘリＭＡＸのはず。。。しかも、大食い。

冷蔵庫に残っている、有り物のわずかな食材で、
何なら出来るか、
何なら手早く出来て簡単か、
量はどのくらい作るか、など、
大急ぎでアタマを働かせながら、作業中の子達の人数を確かめます。


工房の男の子胡達は、タロ若を筆頭に、実はお料理が上手です。

お昼ごはんなんて、昼から天ぷら揚げたりしてる。（ 信じられない！ ）
大殿様が釣ってきた魚を（ 最近行けてませんね、釣り ）きれいに捌いて、
お刺身作ってくれたりする。
タロ若なんて、ふろふき大根は、ダシにもこだわったりする。


そんな子達に、何作れとーーー？！


因みに、なにかと便利な鶏肉は、冷凍庫に大抵常備してありますが、
業務用をまるごとそのまま凍らせちゃってるので、
使う時はナタでかち割らないと駄目で、硬すぎてワタクシには手に負えない。
( キッチンにナタが置いてある工房って。。。）
しかも、大殿様は鶏肉嫌い。
（　「そもそも私は、チキン－弱虫－は大嫌いなんだ」とか、訳分からんことを言う　）

そういう訳で、お肉は、牛か、豚。
でも、いつも有る訳じゃないから、大抵、ベーコン。
これは、なかなか不便ですーーー。

だから、究極の、メニュー決定基準は、


寒い時　→　身体が芯から温まるあったかい物
暑い時　→　さっぱり冷たくて涼しくなる物


それだけ。


このポイントを押えた物が出せれば、
みんな優しいから、誰も文句言わないで食べてくれる。
ただひとり、


「塩梅が、、、」


と毎回言いながら、
予め傍に備えておいた食塩のビンや醤油に手を伸ばすお人、以外は。