二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本の二胡、その4。

2012-10-06 08:18:20 | ■工房便り 総合 
バイオリンが今のように1000人以上の聴衆に聴かせるようになったのは、多分1800年代の半ばだと思います。

このころヨーロッパで何が有ったかと言えば、産業革命と、民主主義の革命ということではないでしょうか。

王制~民衆たちが自分たちで政治を取るような議会制民主主義というものがどうやら定着してきたのがこの頃ですね。

そして植民地を相手の簒奪によって、(商売というより軍事力を背景とした簒奪と言ってよいと思います)十分な資力を作り上げてきた中産階級が経済力を背景に、それぞれの国でかなりの力を締めてきた頃です。

貴族や、王族などの為に開かれて来た、演奏会が、より広い聴衆を得てきたのでしょう。

国民の1%にも満たない王族や貴族の為では無く、より広い会場でより多くの聴衆の為の音楽、という風に変わってきています。

勿論それまでも民衆の中に音楽が無かったわけでは無いです。

大道芸人や、吟遊詩人など、演奏する者が声を掛けられる範囲の聴衆がを相手でしたし、町や村の、祭りなどに自分たちで演奏するという楽しみ方であったのではないでしょうか。

オペラがオペレッタとして、より大衆の中に広がって来たのもこの頃でしょう。

日本でも、それ以前は、旅から旅を回る形の興業をしていた歌舞伎などが、小屋を持ち定期的な公演の場が出来てきたのも、江戸時代の中期頃からでしょう。

商人達が力を持ち遊びの面でも主力になってきたのが、やはり1700年代の後半からです。

話がそれますが、舞台や音楽の公演というのは大変割に合わない仕事です。

今日本でライブでどのくらいの費用がかかるかと言いますと、50人ぐらい入るライヴハウスが有ったとします。

そこで二胡の公演をしたとします。

お客様から3000円いただいたとして、満席になって、15万円の売り上げです。

ライブハウスに、5万円ぐらいは払わなければいけません。

伴奏の人に、音響を借りるにも、印刷物を作るのにも、費用はかかります。

多分手元に残るのが、精々4万でしょう。

ライブの為に、練習の日々というのが有ります。

もちろん練習というのは日々怠りなくやっていくのがプロですから、当然のこととは言え、ライブの為にも数日は打合せリハーサルなどで掛かります。

1日にしたら、多分1万円を切ってしまいます。

これは満席になったとしてです。

実際にはご招待の方も、数人入るでしょうから、手残りというのは殆ど無いに等しいのです。

これは演奏者が自分でライヴを開いた場合です。

これが企画者だとしたら、これらの費用すべてを出費ということになります。

100人ぐらいの会場を借りて中国人の演奏者を呼んで、伴走者を付けてとしたら、もう完全な赤字ですね。

二胡の場合中国から演奏者を呼んで、何とか採算に合うようにするには、300人ぐらいご来客が必要なのではないでしょうか。

それでも打ち上げやら、色々入れると、ほぼプラスマイナスゼロというところでしょう。

私も、都内の大きなクラブなどで、ダンスや、トランスのイベントをやってきていますから、

このあたりは良く解るのです。(トランスというのは、ロックの音楽形式の一つです、ちょっと危ないやつ、笑!)

ですから、この20年間、二胡の演奏者を中国から呼び、演奏会を開き続けてきた、ラサ企画の亀岡さんの、お力と御努力に頭が下がります。

この他にも、名前はあげられませんが何人かの方達のお力には、敬意を表します。

この方たちのお力で今の二胡の世界の発展というのがあったのは事実なのです。

感謝します。








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